■そもそもストレス耐性の高い人ばかり採っていくのは疑問だが

近年、働く人々のメンタルヘルスが問題になってきたことにより、採用場面においても、その人がどれだけストレスに対して強いのかという「ストレス耐性」の観点を採用基準に入れている会社が増加しています。

そもそも、「ストレスの少ない職場を作る」のではなく、「ストレスに強い人を入れる」ことにより、組織の問題を解決しようとすることがよいのかどうか疑問ではあります。それを続けると、ストレス耐性の強い人しか入れない会社になってしまいます。

ところが、ストレス耐性の強い人は希少なので、どんどん人が採れない会社になってしまいます。しかしながら、それはさておき、現状としてはストレス耐性は重視される採用基準ですので、今回はこれについて考えてみたいと思います。

■ストレスに強い理由は「いろいろ」

ストレス耐性と一言で言っても、「なにゆえストレスに強いのか」は、様々あり、それによって自社にとって適切なストレス耐性の強さかどうかがわかります。確かにストレスに強くあったとしても、それが自社の仕事を遂行するのに害になるような性質のものであれば、けして良いストレス耐性とは言えないでしょう。

ですから、どこから生じているストレス耐性かをきちんと認識して判別していかなければ、自社にとって悪いストレス耐性の持ち主を採用してしまうことにもなりかねません。

■ストレスの「感じやすさ」と「対抗しやすさ」

さて、ストレス耐性を分解すると、「ストレスを感じやすいか」と「ストレスに対抗しやすいか」の二つに大きく分けることができます。

(1)「ストレスを感じやすいか」に関係する性格要素は、例えば(他にもいろいろありますが)、以下のようなものがあります。

●鈍感力・・・外部からの刺激に対して、鈍感であるかどうか

●意味づけ力・・・今やっている仕事に対して自分なりに意味づけして楽しめるか

●承認欲求・・・他者評価を気にするかどうか

●楽観性・・・物事を楽観的に捉えることができるかどうか

●自立性・・・一人でいること、孤独であることに強いかどうか

●妥協力・・・完璧主義過ぎず、現実的な落としどころを見つけられるか

●自責性・・・何か物事が生じた際に、その責任が自分にあると感じるかどうか

・・・等

例えば、サービス業などでは、鈍感力ゆえのストレス耐性ではNGでしょう。飲食店のウェイターが顧客が困っているのに、気づかずに何の対応もしないということでは、業務に差し障りがあります。一方、飛び込み営業など、多くの場合、相手からつっけんどんな対応をされてしまうような仕事をする場合、一定以上の鈍感力がなければ、おそらくすぐにつぶれてしまうことでしょう。

楽観性や妥協力にしても、銀行のように最悪の場合も考えながら(ある意味悲観的に)リスクを避けていかなければいけず、また正確性が極めて求められるような仕事では、NGだと思います。しかし、環境がどんどん変化していくようなベンチャー企業であれば、そこからくるストレス耐性は悪くありません。

(2)「ストレスに対抗しやすいか」に関係する性格要素は、例えば、以下のようなものです。

●感情抑制力・・・状況を客観的に冷静に捉えて、感情に押されず粛々と対応できるか

●気分転換力・・・精神エネルギーを復活させる気分転換ができるかどうか

●支援要請力・・・一人で抱え込まずに、人の助けを得ながら、課題に対処できるか

●諦める力・・・いつまでもくよくよせずに、起こったことはしょうがないと思えるか

●挑戦心・・・壁や障害があれば、逆に燃えて、頑張ろうと思う心

・・・等

営業職など、目標達成に対して執着心が必要な仕事においては、諦めることによってストレスから逃れるのは良いやり方とは言えません。

しかし、仕事環境を自分一人の力では変えることができないインフラ系事業や装置産業などにおいては、今の環境を制約条件と考えて(つまり変えられないものとして諦めて)、自分ができることだけきちんと頑張ろうとする人は、まったく問題ありません。

このように、ストレスに対抗する力も、仕事によって、どの性格要素から出てきているものかによって、自社にとってよいものかどうかがわかります。

 以上、よく使われる「ストレス耐性」について、いろいろ考えてみました。十把一絡げに「ストレス耐性」とまとめてざっくりと話してしまうと、自社に合わない人を採用してしまう可能性があります。ぜひ、自社にとって良い「ストレス耐性」とはどのようなものなのか、議論してみてください。