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10位が2位に圧勝したWBAライト級挑戦者決定戦

林壮一ノンフィクションライター
Esther Lin/SHOWTIME

 髪型やトランクス、シューズとモハメド・アリを真似ながら24戦全勝14KOで、WBAライト級2位まで上ってきたドミニカ人ファイター、ミッシェル・リベラ(24)。 

 しかし、そのファイティングスタイルは、とてもアリと比較されるレベルにはなく、いつかメッキが剥がれるだろうと感じざるを得なかった。24戦目となった2カ月前のファイトの後、筆者は「日本人ライト級選手に美味しい相手」と記した。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20221020-00320022

Esther Lin/SHOWTIME
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 現地時間の17日、SHOWTIMEの後押しを受けたリベラは、16戦全勝12KOのサウスポー、フランク・マーティン(27)と対戦。10位のマーティンを安牌と感じていたのであろう。それでも<WBAライト級タイトル挑戦者決定戦>として認められた。

 サウスポー対策がまったくと言っていいほど出来ていないリベラは、ワンサイドの判定で敗れた。7回には左ストレートと右フックのコンビネーションを浴び、ダウンを喫している。スコアは120-107、118-109、117-110。

Esther Lin/SHOWTIME
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 WBA/WBC/IBFウエルター級チャンピオンのエロール・スペンス・ジュニア、そして、WBA/WBC/IBF/WBOスーパーウエルター級王者であるジャーメル・チャーロと共に練習するマーティンは、してやったりの勝利後に語った。

 「やるべき事をやった。いい夜だったね。コーナーから『離れて戦え』という指示が飛んでいたし、リベラの右を見ながら試合をコントロールした。可能な限り、足を使ったよ。

 2人の統一王者から学ぶことは本当に多い。エロールのスパーリングは毎回のように目にして、色んな質問をさせてもらっている。トップ選手を目の当たりに出来るって、最高の環境だよ。自分自身も、チームのことも信頼している。そして、俺には積み重ねがある。上位ランカーを食うための練習をしてきた。その時が訪れたのさ」

 無傷の17連勝(12KO)を飾り、世界2位を食ったマーティンはランキングを上げるだろう。プロモーター、マネージャーの力次第だが、次戦でWBA王座に挑戦する可能性もある。

Esther Lin/SHOWTIME
Esther Lin/SHOWTIME

 一方、マーティンの左ストレートを何度ももらったリベラのダメージは、心身ともに大きそうだ。

 敗者もコメントした。

 「負ける気なんかなかった。私は勝ちに来た。当初は調子がいいと思ったんだが、4~5ラウンドで減量の影響を感じた。言い訳はしない。私はまだ、ライト級実力者の一人だ。スピードには自信があったが、彼の方が速かったし、私の動きは遅過ぎた。

 ジャブで主導権を握るプランだったのに、マーティンが一枚上だった。敗北を糧とするなんて望んじゃいなかった。勝つためにハードな練習を重ねてきた」

Esther Lin/SHOWTIME
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 リベラは再起戦の相手を探すこととなる。日本にも135パウンドで上を狙う選手が複数名いる。このドミニカンを踏み台とすれば面白い。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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