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ヘビー級太っちょ世界ランカー対決

林壮一ノンフィクションライター
WBOで5位、IBFで9位のルイス(写真:ロイター/アフロ)

 2019年6月1日、アンソニー・ジョシュアを7回KOで下してWBA/IBF/WBO統一ヘビー級タイトルを獲得したアンディ・ルイス・ジュニア(32)。

 メキシコ人初の最重量級世界チャンピオンとなったルイスは、この世の春を謳歌し、パーティー三昧の日々を送る。初防衛戦となるジョシュアとのリターンマッチに向けたキャンプに入ってからも、朝起きることが一仕事となり、かつ、あそこが痛い、ここが痛いと週に4回くらいのトレーニングしかせずにリングに上がった。

 当時、ルイスのトレーナーを務めていたマニー・ロブレスは言ったものである。

 「きちんと準備すれば、リターンマッチでも勝てた筈だ」

ルイス(右)、ロブレス(中央)
ルイス(右)、ロブレス(中央)写真:ロイター/アフロ

 ロブレスは統一ヘビー級王者に向かって「お前とは今回限りだ。魂の無い選手とは一緒にやれない! 選手もトレーナーも魂があって初めて共に闘える」と、再戦前に告げた。そして、案の定ルイスはリターンマッチで王座から転落した。

 因みに、ジョシュア挑戦時のルイスの体重は121.56kg、リターンマッチでは128.8kgに膨らんでいた。

半年で王座を失ったルイス
半年で王座を失ったルイス写真:ロイター/アフロ

 昨年5月、そのルイスが116.1kgまで体を絞って再起した。現在の戦績は34勝(22 KO)2敗。そして来る9月4日、キューバ人サウスポーのルイス・オルティス(43)戦が正式に決定した。

 オルティスも突き出た腹をしており、"動ける太っちょ"としてキャラが被る。同タイプの対戦は、ある種の興味をそそる。

WBC8位のオルティス
WBC8位のオルティス写真:REX/アフロ

 WBC5位のルイスと8位のオルティス。オルティスは、御存知のように同タイトルに2度挑んだ過去がある。共にディオンティ・ワイルダーにKOで敗れた。目下、33勝(28KO)2敗。

写真:ロイター/アフロ

 およそ2万人収容のクリプト・ドットコム・アリーナには、何名のファンが集うだろうか。また、2人のファイターはどのくらい体を作ってリングに上がるのか。ヘビー級の低迷が嘆かれて久しい昨今、この対決はいかなる注目を集めるか…。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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