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間もなくゴング! 10戦全勝10KOの東京五輪金メダリストがリングに上がる

林壮一ノンフィクションライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ウズベキスタン代表として先の東京五輪に出場し、スーパーヘビー級で金メダルを獲得したバハディール・ジャロロフ(27)。祖国を離れ、ニューヨーク州民となった彼は、プロ選手として2度目の五輪を経験した。

 リオ五輪ではベスト8まで勝ち上がったが、後に銀メダルを手にする英国代表のジョー・ジョイスに敗れた。

 ジャロロフは2018年5月にプロデビューし、東京五輪を挟みながら連勝を続けてきた。

写真:ロイター/アフロ

 目下10戦全勝10KOのジャロロフは、現地時間6月10日にリングに上がる。つまり、日本時間の今日だ。国際ボクシング殿堂のイベントの一環として行われ、リングサイドには拳豪たちが集う。

 過去には、モハメド・アリとジョー・フレージャーの娘同士がぶつかった注目の舞台にジャロロフも上がることとなった。同ファイトはSHOWTIMEによって放送される。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 8回戦ながらメインイベンターとなるジャロロフの対戦相手は、11勝(7KO)2敗1分けのベルギー人、ジャック・ムロワイ(35)。

 身長2メートル1センチのジャロロフは言う。

 「プロとしてアメリカ合衆国に戻ってくることに、不安がありました。でも、この素晴らしい機会にベストな自分をお見せします。そしてヘビー級戦線において自分には未来があることを示したいですね」

写真:ロイター/アフロ

 ジャロロフ戦が米国での2試合目となるムロワイも、197センチの大型選手だ。ベルギー国籍を持っているが、生誕の地はモハメド・アリとジョージ・フォアマンが闘った、あのキンシャサ(現コンゴ共和国)である。

 咬ませ犬感は拭えないが、ムロワイも次のような声明を出した。

 「またアメリカで試合する機会を得られて、非常に幸せだ。自分の価値を見直して頂けるチャンスだ。2019年10月のフランク・サンチェス戦は、精神的に試合に向かう準備が整っていなかった。それで判定負けしてしまったんだ……。

 今の俺はあの頃とは違う。ノックアウトだろうが判定だろうが、きちんとファイトし、防御が攻撃にもなっている。自分が世界タイトルに挑戦できるレベルにいることを証明してみせるよ」

 彼らの姿は、殿堂入りを果たした名チャンプたちに、どのように映るであろうか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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