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間もなくゴング! WBCスーパーミドル級暫定王座決定戦

林壮一ノンフィクションライター
(C)Esther Lin/SHOWTIME

 今夜、アリゾナ州グレンデールでゴングが鳴る、WBCスーパーミドル級暫定王座決定戦。25戦全勝22KOで1位のデビッド・ベナビデスは166.4パウンド、43勝(36KO)4敗で2位のデビッド・レミューは166.2パウンドで前日計量をパスした。

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 スーパーミドル級最年少世界チャンプという記録を作りながら、体重オーバーでベルトを手放した過去を持つベナビデスは、最終記者会見で言った。

 「最高のトレーニングキャンプだった。パーフェクトと呼べるね。何マイルも走り込み、スパーリングもやるだけやった。既にリミットを下回っている。この試合に向けて、万全の準備をしたよ。

 我々はKO勝ちを何度も飾っている。お互いに判定決着なんて望んじゃいない。ノックアウトでケリが付くさ。高いカネを払って俺たちの試合を見るファンだって、KOを見たい筈だ。彼らには<戦争>を、楽しんで頂けるだろう。

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 どうしても、このタイトルを手に入れたい。レミューのことは若手時代から目にしていて、心から尊敬している。同時に恐怖も感じていた。彼には経験もあるよね。俺の対戦相手の中で、相当危険な選手だ。だからこそ、モチベーションが高まる。素晴らしいファイトになることは間違いない。俺は彼よりも速く、強いよ。レミュー戦に100%、集中してきた。

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 この4カ月間のキャンプ中、息子に会えなかったから、実に再会が嬉しいね。でも勝つため、自分を追い込むための4カ月だった。 

 勝利して、ビッグマッチに繋げたい。俺は2度世界王座に就いたが、有名選手とやって他のベルトも手にしたいんだ」

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 レミューは日本のファンにもお馴染みの、GGGことゲンナジー・ゴロフキンやハッサン・エンダムとミドル級で対戦している。2015年6月20日にエンダムに判定勝ちして、IBFタイトルを手にした。2019年末にスーパーミドル級に上げてから、3連勝中だ。

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 レミューも話した。

 「世界チャンプになりたいなら、ベストファイターに勝たねばなりません。今、私の前にはデビッド・ベナビデスがいます。世界王座に就くために、倒すべき相手です。誰もがベナビデスがいい選手だと理解していますよね。でも、私もスーパーミドル級で真剣にベルトを目指しているんですよ。

 この試合は大きなチャレンジです。火の出るような練習を重ね、肉体も精神も完璧な状態に仕上げました。我々は激しく打ち合いますから、判定にはならないでしょう。

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 私は誰からも逃げません。誰も恐れてはいない。リングに上がれば、自身を持って自分の技術、作戦、パワーを駆使して目の前の敵に勝ちます。ベナビデスは簡単な相手ではないですし、私が不利だと語る人が多いことも理解しています。が、勝利するためにここに来ました。

 それだけのことをこなしましたから、当日は誰もが驚く結果になるでしょう。我が陣営にとっては、作戦通りですがね。

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 私はノックアウトパンチャーです。このクラスで<怪物>と呼ばれる選手を相手にしても、特に気になりません。世界王者になることこそが、自分の最も大きな目標ですから、どんな障壁も乗り越えて進むだけです。 

 ベナビデスも私も<戦い>をするために、この場所に来ました。ファンが心から喜ぶファイトをすることを、共に望んでいます。その約束を果たしたいですね」

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 ベナビデスが、何度も自身のウエイトについて触れている点が印象的だった。さて、どんなファイトになるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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