Yahoo!ニュース

ウエルター級3冠統一戦、8週間後にゴング!

林壮一ノンフィクションライター
WBC/IBF2冠王者エロール・スペンス・ジュニア(写真:REX/アフロ)

 昨年8月21日に、マニー・パッキャオと対戦する筈だったWBC/IBFウエルター級チャンピオンのエロール・スペンス・ジュニア。試合12日前にネバダ州アスレチック・コミッションが行ったメディカルチェックで、左目の網膜剥離が判明。スペンスは地元であるテキサスに戻り、即、手術を受けた。無論、パッキャオ戦は中止となる。

 プロモーターは急遽、セミファイナルに出場予定だったWBA同級王者のヨルデニス・ウガスとパッキャオとのファイトをメインイベントとした。

 ウガスとトレーナーのイスマエル・サラスは、11日間で対パックマン対策を練り上げる。そして戦略通りに、再三右をヒットして大金星を挙げた。

パックマンに引導を渡したウガス
パックマンに引導を渡したウガス写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 4月16日、治療を終えたスペンスと、パッキャオを引退に追い込んだウガスがWBA/WBC/IBF3冠統一戦として対峙する。場所はテキサス州アーリントンのAT&Tスタディアム。27戦全勝21KOのスペンスにとっては、故郷における3度目のファイトだ。

 スポーツ専用TVチャンネルであるESPNが主張する現ウエルター級最強ファイターは、WBOタイトルを保持するテレンス・クロフォード(34)。2位がエロール・スペンス・ジュニア(31)、3位をヨルデニス・ウガス(35)となっている。

 4月16日の勝者がテレンス・クロフォードと戦い、4団体統一戦に向かいそうな気配だ。

 ウガスにとっては、敵地に乗り込んでのファイトととなる。キューバからの亡命者であるウガスにAWAYは慣れっこかもしれないが、代役としてパッキャオ戦を迎えた昨年の大一番も、今回も、相手側に主導権を握られている印象は拭えない。

ウガスとサラスのキューバ人コンビは、また大仕事をやってのけるか
ウガスとサラスのキューバ人コンビは、また大仕事をやってのけるか写真:REX/アフロ

 27勝(12KO)4敗で、35歳にしてスターダムに躍り出たウガスは、サラスが経営するラスベガスのジムでトレーニング中だ。

 サラスにスペンスの印象を訊ねると「攻撃力は目を見張るものがありますね。でも、こちらはそれを利用してカウンターを放つつもりです」なる答えだった。

 気になるのはスペンスの左目の回復度だが、注目の統一戦であるのは間違いない。8週間後が非常に楽しみだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事