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23カ月ぶりのリマッチを制したIBFスーパーライト級2位

林壮一ノンフィクションライター
(C)Amanda Westcott/SHOWTIME

 IBFスーパーライト級2位、WBC同級8位のプエルトリカン、スブリエル・マティアス(29)が、唯一、黒星を喫した相手であるペトロス・アナヤン(33)とのリターンマッチを迎えた。

 2015年12月に故郷、プエルトリコでデビューしたマティアスは11連勝を飾り、2018年10月に米国に進出。当地での初陣もファーストラウンドKOを収め、自身の存在をアピールした。

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 が、米国での3戦目となった2020年2月22日に、ロシアウェルター級、IBFインターナショナルスーパーライト級と2つのベルトを巻いた経験のあるペトロス・アナヤンに判定負けする。7ラウンドにロープダウンを喫しての完敗だった。

 世界タイトル挑戦を見据えながらも、どうしてもリベンジを果たしたいマティアスは、その後、WBA米大陸スーパーライト級王座にも就いたロシア人ファイター、アナヤンを追い求め、今回の再戦に漕ぎ着けた。

(C)Amanda Westcott/SHOWTIME
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 両者は至近距離で激しく打ち合う。共にダメージを蓄積させながら、我慢比べが続いた。手数とクリーンヒットでマティアスがポイントを稼ぐ。プエルトリカンは、序盤から執拗にボディを狙った。

 7回、マティアスはローブローで減点されるが、ペースは確実に掴んでいた。

(C)Amanda Westcott/SHOWTIME
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 第9ラウンド終了間際、マティアスが放ったショートの左フックがアナヤンの顎を打ち抜く。

 屈強に見えたロシアンファイターだが、ゆっくりと腰からキャンバスに沈んだ。彼にとってプロ生活初のダウンである。起き上がり、試合続行を求めるアナヤンはゴングに救われる。

 が、インターバル中に視線が定まらないアナヤンのダメージを考慮したドクターが、試合を止めた。

(C)Amanda Westcott/SHOWTIME
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 試合後、勝者は言った。

 「敗北以来、雪辱を果たしたかった。だから、この試合を望んでいた。リマッチで、俺の実力を見せようと思っていた。自分の売りはパンチ力だけじゃない。木を切り倒すように相手を料理できるんだ。この試合を作ってくれた人々に感謝するよ」

 胸の痞えを下ろしたマティアスは、18勝(18KO)1敗に、アナヤンは16勝(7KO)3敗2分けとなった。

 アナヤンは、2021年10月16日に10回判定勝ちでWBA米大陸タイトルを得たばかりだったが、23カ月前の初戦と比べると動きに鋭さが消えていた。彼に強力なマネージャーやプロモーターがついていれば、一度下した相手との試合にサインしただろうか。

 年齢以上の差を感じざるを得ないファイトであった。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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