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元スーパーウエルター級2冠チャンプが2連敗

林壮一ノンフィクションライター
(C)Frank Micelotta / FOX Sports

 2019年5月11日にWBA/IBFスーパーウエルター級タイトルを獲得したジュリアン・ウイリアムズ(31)。半年後にジェイソン・ロサリオに5回KO負けで敗れ、王座から転落した。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20200120-00159542

 ウイリアムズはこのほど、およそ21ヵ月ぶりのリングに上がった。相手はサウスポーのメキシカン、ヴァルドミール・ヘルナンデス(32)。

(C)Frank Micelotta / FOX Sports
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 コロナ禍でなかなかカムバック戦が決まらなかったウイリアムズだが、序盤は21ヵ月の間にダメージが抜けたかのように見えた。オープニングから効果的に右ストレート、右フックをヒットして元2冠チャンプらしいところを披露。

(C)Frank Micelotta / FOX Sports
(C)Frank Micelotta / FOX Sports

 が、中盤から接近戦に持ち込まれ、徐々に流れはヘルナンデスに傾いていく。このファイトを解説した元統一ヘビー級チャンプのレノックス・ルイスも6回まではウイリアムズのリードを唱えていたが、ラウンドが進むにつれ疲労の色が濃くなっていく。

 8回にはメキシカンの連打を浴び、防戦一方となった。9回もロープを背負って棒立ちとなる。最終の10ラウンドにも無数のパンチを浴び、クリンチで凌ぐのが精いっぱいで試合終了のゴングを聞いた。

(C)Frank Micelotta / FOX Sports
(C)Frank Micelotta / FOX Sports

 前半の貯金を評価したジャッジは96-94でウイリアムズを勝者としたが、他の2名は94-96、93-97でヘルナンデスを支持した。

 ウイリアムズは27勝(16KO)3敗1分け、ヘルナンデスは13勝(6KO)4敗となった。

 2019年5月11日のファイトは会心の出来だっただけに、ウイリアムズの衰えが目立った。ボクサーに与えられた時間が短いことを再認識させられた。

 グローブを外す判断こそが、最も難しいことは百も理解しているが……ウイリアムズが怪我無くリングを降り、次の道に進むことを祈る。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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