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11月6日にゴングが鳴る4団体統一スーパーミドル級タイトル戦。火花が散った記者会見。

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 現地時間、9月21日の13時半よりビバリーヒルズのヒルトンホテルで行われたWBA/WBC/WBOスーパーミドル級王者、サウル・"カネロ"・アルバレスvs.同級IBFチャンピオン、カレブ・プラントとの統一戦発表記者会見は大荒れとなった。

 両チャンピオンは11月6日にラスベガス、MGMグランドガーデン・アリーナで対峙する。試合まで6週間強となったこの会見中、IBF王者は執拗にカネロを挑発した。禁止薬物の使用により6カ月間の謹慎処分を喰らったWBA/WBC/WBOチャンプの過去を扱き下ろし、Mother Fuckerという言葉を投げ掛け続けた。

 

 そして、お約束のフェイスオフで顔を近付けた両者はエキサイトする。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 3団体チャンプが両手でプラントを突き飛ばすと、IBF王者も左フック軌道のビンタで応戦。カネロがステップインして左、右と平手を見舞う。次の瞬間、両陣営が2人のチャンプを引き離すのに一苦労といった調子で入り乱れ、会場は騒然となった。

 とはいえ、こうしたことはボクシング界では珍しくない。レノックス・ルイスvs.マイク・タイソン、マルコ・アントニオ・バレラvs.エリック・モラレス、オスカー・デラホーヤvs.フェルナンド・バルガス、オスカー・デラホーヤvs.リカルド・マヨルガでも見られた。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 プラントは語った。

 「一つ確かなことがある。人は俺がステップアップできないとか、勝てないと言うが、間違った意見だ。

 俺はボクシングが無いコミュニティーで育った。プロ選手などいなかった。でも、闘志と精神力でここまで来たんだ」

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 「有名になりたいとか、注目を集めたいなんて、まったく考えちゃいなかった。父との二人三脚でキャリアをスタートしたよ。誰も俺が世界チャンピオンになるなんて思っていなかったさ。

 祖父が貯めていた僅かな金で小さな練習場を造ってくれた。1本のサンドバッグがあっただけだ。でも、それこそ本当に必要な物だっだんだ。俺のメンタルを鍛え上げる物だったからな」

Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 「俺の勝利を疑う人間がいることは理解している。でも、11月6日に勝者となるのはこの俺だ。TOPに立つと自分自身に約束したんだ。信じ難いことを、成し遂げてみせる。

 統一王者になるために、長い時間多くを捧げてきた。歴史に自分の名を刻みたいね」

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 カネロも話した。

 「ヤツは私のレベルじゃない。11月6日を見れば分かるさ。それを証明するよ。私は何もないところからスタートし、懸命にトレーニングしてここまで上ってきた。

 何人かに嘲笑されもしたが、その度にトレーナーのエディと結果を出すことで黙らせた。我々が何者であるかを御覧に入れようじゃないか」

Photo:Nabeel Ahmad/Premier Boxing Champions
Photo:Nabeel Ahmad/Premier Boxing Champions

 「カレブは、ビリー・ジョー・サンダースやカラム・スミスとはどっこいどっこいだ。私の域には達していない。

 いい選手だとは思うが、私の敵ではないんだ。彼が統一戦の舞台まで辿り着いたことには敬意を払うが、落ちていくことは目に見えているよ」

Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 「ヤツは精神的に不安定だ。だから、多くの事柄に対して言い訳を探している。私はそんなものは気にしない。ベストを尽くしてヤツを叩きのめす。自分を支えてくれるチーム全員とメキシコの為に統一王者になってみせる。8ラウンド以内に必ずKOする。簡単な作業だよ」

 さて、4本のベルトを束ねるのはどちらか。楽しみな一戦だ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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