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パッキャオがリターンマッチを希望? 大金星を挙げたWBAウエルター級チャンプの右

林壮一ノンフィクションライター
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 ヨルデニス・ウガスとのWBAウエルター級タイトルマッチに敗れたマニー・パッキャオが、カムバックを仄めかした。8階級を制した伝説のフィリピン人王者、PACMANは言った。

 「自分のキャリアの中で、ウガスは最も簡単な対戦相手の一人。1月にでもリターンマッチをやりたい」

 とはいえ、ウガスのサイズ、リーチのアドバンテージに対応できなかったことは、パッキャオの参謀であるフレディ・ローチも認めている。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 パッキャオ戦のウガスは、右が光っていた。数々のファイターを沈めたPACMANの左ストレートを空転させたところに、再三、右を浴びせペースを掴んだ。

村田諒太や井岡一翔、井岡弘樹などのトレーナーを務め日本でもお馴染みのサラス
村田諒太や井岡一翔、井岡弘樹などのトレーナーを務め日本でもお馴染みのサラス写真:ロイター/アフロ

 試合の6日後、ウガスのトレーナーであるイスマエル・サラスに「右が勝利のカギでしたね」と訊ねると、彼は答えた。

 「長い時間を掛けて、ウガスが習得したものさ。多くの人が見たことのないパッキャオだっただろう。こちらは彼が躱せないタイミングで右を放っていった。だからこそ、明確に勝つことができたんだ」

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 ウガスも試合後に述べた。

 「ジャブでマニーのバランスを崩すことが第一段階。そして、右を打ち込んでいくプランだった。彼が俺を倒せないことは分かっていた。起こるべくして起こった結果さ。

 自分と同じ時代に生きたもっとも偉大な選手であるマニーのことは、ずっと尊敬していた。リング外でもね。俺と戦ってくれたことに、感謝する。

 非常に感激しているよ。『キューバ人はビッグマッチで勝てない』って散々言われたからね。それを覆し、祖国に勝利を捧げられることを誇りに思う」

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 サラスはパッキャオの再戦希望発言を一笑に付した。

 「私は彼のカムバックは無いと思う。これだけの内容で負けたのだから」

 大金星を挙げたウガスとサラスのキューバ人コンビは、次に何を見せるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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