48歳となったデラホーヤのカムバックがキャンセルに
9月11日に元6階級制覇王者のスター、オスカー・デラホーヤがリングに上がることとなっていた。2008年12月6日、マニー・パッキャオに滅多打ちにされ引退を決めて以来の"カムバック"の筈だった。
対戦相手は、ブラジルの元UFCファイター、ヴィトー・ベウフォート(44)が予定されていた。UFCで輝かしい戦績を残し、世界王座にも就いたファイターだ。
とはいえ………世の中にはボクシングと総合格闘技を同一線上に捉える人がいるが、似て非なるものである。
デラホーヤが「リングに復帰したい」とアナウンスした際、2020年11月28日にマイク・タイソンとエキシビションマッチでグローブを交えたロイ・ジョーンズ・ジュニア(52)が、名乗りを上げた。
ソウル五輪(1988年)の銀メダリストであり、ミドル、スーパーミドル、ライトヘビー、ヘビーと4階級を制したジョーンズと、バルセロナ五輪金メダリストであるデラホーヤが対峙すれば、マスターズ的ボクシング興行であっても注目を集めたであろう。
しかし、デラホーヤが選んだのは元UFC王者だった。フロイド・メイウェザー・ジュニアが、コナー・マクレガーを相手にした一戦を参考としたのだろうか。
バルセロナ五輪USA代表チームで唯一金メダルを獲得したデラホーヤは、"ゴールデンボーイ"として鳴り物入りでプロに転向した。スーパースターとなり、ボクシング史に残る数々の激戦を繰り広げたことに疑いの余地はない。
また、常にメディアやファンと笑顔で接し、自身が所有するキャンプ場を他のファイターたちに快く貸し出す人柄も愛された。それは、プロモーターとなった現在も変わらない。
が、ライト級だったパッキャオを2階級上のウエルター級に増量させ、ミドル級で世界タイトルを獲っていたデラホーヤが階級を落として強引に試合を成立させた件で、選手としての晩節を汚した。
もう一度、弛んだ体を引き締めたい思いや、ファイトしたくなった気持ちは分かる気がする。
9月11日、彼は何を見せるのか……とプレス申請をしたのだが、現地時間3日にデラホーヤは自身が新型コロナウィルスに感染したことをSNSで表明し、カムバックは仕切り直しとなった。対戦相手も再検討すべきではないか。