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マニー・パッキャオvs.WBC/IBFウエルター級王者、エロール・スペンス・ジュニア

林壮一ノンフィクションライター
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 8月21日、マニー・パッキャオ(42)がWBC/IBFウエルター級チャンピオンのエロール・スペンス・ジュニア(31)と対戦する。場所はネバダ州ラスベガス、T-Mobileアリーナ。

 先日行われた記者会見時の、両者の言葉をご紹介しよう。

Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 パッキャオは語った。

 「今回の試合では、もっと楽な相手を選ぶことも可能だった。しかし私は、エロール・スペンス・ジュニアを相手に決めた。本物のファイトを望んだし、素晴らしい試合をファンに届けたいからだ。私はファイターであり、ボクシングに情熱を感じている。この一戦は、自分のキャリアの中でも相当大きな挑戦の一つだ。私は、常に最強の敵と闘って来た自負があるので、最も大きなチャレンジとは言えないがね。

 エロール・スペンス・ジュニアは攻撃力があり、若く、負け知らずだ。自分の人生をボクシングに捧げている。簡単な相手じゃないさ。こういったタイプは、けっして軽く見てはいけない。

 サウスポーとの試合は久しぶりだ。前回とは違った対策を練らねば。お互いに、いつもとは異なったコンビネーションを振るうことになるだろう」

Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 「エロールはフロイド・メイウェザー・ジュニアのアドバイスなど必要としていないよ。彼の方がメイウェザーより優秀な選手だから。エロールこそ、メイウェザーに正面からの打ち合いをレッスンできる。

 エロールは非常に危険な選手だから、己を過信してはいけない。彼は常に決意、情熱と共にリングに上がっている。私も本物の闘いをしなければいけない。

 5月にフィリピンでトレーニングを開始した。2次キャンプとして、いつもロスアンジェルスで調整する。自分にとっては、それが最善の準備方法さ。12歳からボクシングを続けて来て、今も私は飢えているし、勝利に対する渇望もある。最高の敵と拳を合わすことが出来る。今回の試合を実現させてくれた全ての人に感謝したい」

Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 一方、WBC/IBFウエルター級王者、エロール・スペンス・ジュニアも話した。

 「パッキャオと闘えるなんて、最高の機会だ。ボクシング界にサウスポーは少ないから、スパーリング相手を探すことも難しい。でも、今、俺のキャンプには、いいサウスポーが揃っているよ。無論、マニーと同等のレベルではないが、テンポやペースを模倣出来る選手は見付けた。

 マニーは42歳だが、今でも一級品のスピードを持っている。ハードな練習で体が痛むことも無いだろう。だからこそ彼は20年も、トップ選手でいられるんだ。柔和な表情をしてメディアとも友好に付き合っているが、ゴングが鳴ったら豹変し、俺を倒しに来る。彼の特性だよね。それを理解したうえでゲームプランを作成し、トレーニングを重ねている」

Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 「マニーのKOシーンは目にしているが、俺を倒すことは不可能だな。彼に引導を渡す能力を俺は持っている。勝利に向けて準備している。自分のペースで闘えば、焦らなくてもノックアウトシーンが訪れるだろうよ。

 歴史に残る素晴らしいファイトになるだろう。彼も死力を尽くすだろうが、勝つのは俺だ」

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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