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WBAスーパーライト級タイトルを獲得し、3階級を制したメイウェザー期待のサウスポー

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 マリオ・バリオス(26)を第11ラウンド 2分13秒で仕留め、ジャーボンテイ・デービス(26)が3階級を制した。

 デービスがスーパーライト級でリングに上がったのは、キャリア初のことだ。身長で12センチ、リーチで9センチ上回るバリオスをものともせず、自身の戦績を25戦全勝24KOとした。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
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 「タフな試合ではあったが、予想したよりも簡単だった。何発かクリーンヒットしながら、完璧に捉まえてやる、と考えていた。倒し切るのが俺のスタイル。ミスもしたけれど、ノックアウトできて良かった」

 勝利の後、デービスはそう言った。彼のファイトがSHOWTIMEのPPVで放送されるのは、2度目のことである。会場となったNBAアトランタ・ホークスのアリーナは16570人の観客で埋まり、チケットは完売した。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 序盤のデービスは慎重だった。4ラウンドまではあまり手を出さずに、バリオスを観察する。

 スイッチが入ったのは5回。距離を保ちながら、強打をぶち込むタイミングを計る。

 そして第8ラウンド、デービスの右フックを浴びたバリオスは、プロデビュー以来初めてのダウンを喫した。起き上がったチャンピオンだったが、さらに挑戦者の左ストレートを喰らい、再度キャンバスに沈んだ。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 プロモーターとしてデービスをサポートするフロイド・メイウェザー・ジュニアは、エプロンサイドからアドバイスを送った。中盤までは「低くポジションをとれ!」と言い続ける。メイウェザーは自らミットを持ち、デービスを指導中だ。

 挑戦者は、かつてのパウンド・フォー・パウンドに素直に耳を傾けた。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
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 「彼は深刻なダメージを負っていた。フィニッシュの時を窺っていたよ。フロイド(メイウェザー・ジュニア)からも『ノックアウトできるぞ』と言われていた」

 第11ラウンド、デービスは左ボディアッパーでバリオスを倒した。チャンピオンも意地を見せ、試合続行をアピールしたが、レフェリーが試合を止めた。この日、バリオスは26戦全勝17KOで同タイトル2度目の防衛戦を迎えていたが、完敗であった。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
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 メイウェザーは語る。

 「デービスには、ボクシング史に名を刻めるポテンシャルがある。我々が出会ったのは、彼が14~15歳の頃。『お前は世界を獲れるよ。大したもんだ』って声を掛けたんだ」

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 これほどワンサイドの結果になろうとは……。デービスは、メイウェザーにどこまで迫れるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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