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26日に防衛戦を控えたWBAスーパーライト級チャンプの言葉

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 6月26日にWBAスーパーライト級タイトル、2度目の防衛戦としてジャーボンテイ・デービス(26)戦を迎える、王者マリオ・バリオス(26)。24戦全勝23KOのデービスが3階級制覇を成し得るか否かに注目が集まりがちだが、バリオスの戦績も26戦全勝17KOと、負け知らずで頂点まで登って来ている。

 身長で12センチ、リーチで9センチ挑戦者を上回るバリオスも、調整に余念が無い。キャンプ終了直前の、バリオスの言葉をお届けしよう。

 Photo:Esther Lin/SHOWTIME
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 「この試合は、私にとって物凄く大きなチャンスだと感じています。ジャーボンテイ・デービスはリング内外で名を売って来た男。6月26日以降、我々の名はより広く社会に認知されるでしょう。

 ジャーボンテイとその陣営は、試合についてゴチャゴチャ喋り過ぎです。私は余計なことを語らず、やるべきことをこなし、集中してリングインしたい」

 Photo:Esther Lin/SHOWTIME
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 「ジャーボンテイは、初めてこのクラスで戦いますから、今までの相手とは訳が違う。ジャーボンテイが危険な選手であることは理解していますが、140パウンドの怖さを味わうことになるでしょうね。私は、彼を止める男となりますよ。

 私にはスピード、パワー、そして爆発力が備わっています。彼もそれらを持っていますが、これまでに味わったことの無いサイズの違いを感じるでしょうね。初回から最終ラウンドまで、階級の差を思い知らせてやりますよ」

 Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 「私は優秀なスタッフに支えられています。それが自信の源となっています。これ以上ないほど充実したトレーニングキャンプを終えました。どんな試合でも周到な準備をしたうえで開始のゴングを聞きましたが、今回の調整はいつも以上です。幼い頃から、この時を夢見て来ました。人生を懸けて戦います。年間最高試合を目指していきますよ」

 3階級制覇を狙う人気者のチャレンジャーと、知名度に劣るチャンピオンの試合と聞けば、私の脳裏に思い浮かぶのは、1982年11月12日のアーロン・プライアーvs.アレクシス・アルゲリョだ。

 プライアーはニカラグアの貴公子と呼ばれたアルゲリョを14ラウンドTKOに下して、自身の実力を示した。10カ月後に組まれたリターンマッチでも、プライアーはアルゲリョを10回KOで屠った。両者の体格差は計り知れないものがあった。※彼らについて詳しく知りたい方は、拙著『神様のリング』(講談社)をお読みください。

引退後のプライアー(左)とアルゲリョ(中)。2人とも鬼籍に入った
引退後のプライアー(左)とアルゲリョ(中)。2人とも鬼籍に入った写真:ロイター/アフロ

 同ファイトも、WBAスーパーライト級タイトルマッチだった。プライアーvs.アルゲリョのような、後世に語り継がれる名ファイトを期待したい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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