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日本ミニマム級タイトル防衛に成功した谷口将隆「ノニト・ドネア、京口紘人から学んだこと」

林壮一ノンフィクションライター
防衛に成功し、伯耆淳トレーナー、京口紘人と記念撮影   撮影:山口裕朗

 6月7日、日本ミニマム級チャンピオンの谷口将隆が、仲島辰郎を5ラウンドTKOで下して初防衛に成功した。

 試合後、同ファイトを谷口本人が振り返った。

 「これほど試合後のダメージが無いのは初めてです。でも映像を目にしたら、反省点も見えて来ました。世界戦で勝てたら100点を付けられると思うのですが…大まかな部分では及第点だったかもしれないですが、改善しなければいけない細かな課題に気付きましたね」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 谷口は仲島辰郎戦に向け100ラウンド強のスパーリングをこなした。そのうち4ラウンドは、ジムの同僚であるWBAライトフライ級スーパー王者、京口紘人がパートナーを務めた。5月6日のことである。

 「京口に『3分の1歩くらい、距離が近く感じる』と言われたんですよ。僕が中に入り過ぎていると。ほんの数センチなのですが、彼の言葉を聞いて『そうか』と納得したんです。それまで他のパートナーとのスパーで、余計なパンチをもらってしまうことがあったので。躱し方や立ち位置を意識していたのですが、実は距離に問題があった訳です。

 翌日からその数センチを、後ろだったり横に離れたポジションをとってみたら、ハマった感じになりました。『流石、世界チャンピオン。気付かせてくれてありがとう!』 という気持ちでしたね」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 「仲島選手はまとまっていて、挑戦者らしく前に出て来るいい選手でした。僕、自分より背の高い選手と試合をするのは初めてでした。

 右ストレートに威力があるようでしたから、それをもらわない位置で戦おうと考えました。意識していたことは出来たと思っています。正直、グローブを合わせたら、僕とはレベルが違うなと感じました。初回から、僕が仕掛けたフェイントにも全部引っかかってくれましたし。問題ないな、と。ただ、ボクシングでは油断して足元を掬われることが多いですから、カウンターの右ストレートを喰わないように気を引き締めて戦いました。

 2ラウンド目に僕の左ストレートで、仲島選手の目尻が切れましたから『これは止めれるな』と思いましたね」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 「世界挑戦のチャンスが来るまで、しっかりと日本王座を防衛していきたいです。京口とは差がありますが、向こうがライバルと呼んでくれ、僕もそのつもりで一緒に練習できていることが幸せですよね。彼の一つ一つ細かいテーマに向かうストイックさは、本当に勉強になります。単にハードなトレーニングを乗り越えればいいんじゃなく、『どうするか』が大事なんですよね。京口は日々、考えて考えてメニューを作ってそれをこなしているんですよ」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 「先日のWBCバンタム級タイトルマッチ、ノニト・ドネアvs.ノルディーヌ・ウバーリ戦で明暗を分けたドネアの左フック。タイミングを計って計って、ドンピシャで合わせる技術に痺れました。僕も目まぐるしく動きながらも、ああいう感じで狙い澄ましたパンチを打ちたいと思っていたのですが、まだまだですね。

 タイミングも標的に対しても、ピンポイントでヒット出来るようなテクニックを身に付けたいです。絶対に世界を獲りますよ!」

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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