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アルゼンチン人コーチが語った「A代表vs.U24代表」

林壮一ノンフィクションライター
3-0でA代表がU24を下した(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、チェンマイ・ユナイテッド所属のエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 一昨年の末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、今日、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとして指揮を振るう彼が、6月3日に日本A代表が3-0で同U24代表を下した一戦を振り返った。

撮影:著者
撮影:著者

 もう少しU24が力を見せるかと思いましたが、まったくレベルが違いましたね。A代表が良かった訳じゃなく、U24が悪かったです。期待外れでした。

写真:松尾/アフロスポーツ

 正直、東京オリンピックは経験を積ませるために出場するのか、メダルを獲りにいくのか、あるいはどういったサッカーで戦おうとしているのかが、まるで見えて来ませんでした。

 U24はメンバー選考のテストを兼ねたゲームだったようですが、吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航をU24チームに入れるのであれば、彼らを先発させて、軸となるこの3名とのコンビネーションや意思の疎通を図るようにもっていくべきでした。

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 後半途中から遠藤航が入ることで試合が締まりましたが、オーバーエイジに頼るのなら、彼らと相性のいい選手たちをメンバーとする必要がありますよ。

 足の速いサイドバックを使ってオーバーラップさせて、クロスを入れるのか、後ろから繋ぐのか、意図が伝わらず、明確な戦術も無いままの90分でした。

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 日本期待の久保建英も、相変わらず目立っていませんね。僕は何度も言ってきましたが、世界基準で見れば「普通以下の選手」です。日本のマスコミは騒ぎ過ぎですよ。中島翔哉の方が確実に上でしょう。今のままではA代表はもちろんのこと、U24のエースにもなれない。彼がA代表の選手たちを相手に、決定的な仕事をしましたか? 怖い選手でしたか? いい加減、日本人はそのことに気付かなければ。

写真:長田洋平/アフロスポーツ

 今、日本で一番いいサッカーをしているのは川崎フロンターレです。疑いようがありません。Jリーグの他のチームは止められない。

 U24にはフロンターレから、旗手怜央、三笘薫、田中碧らが入っていますが、オーバーエイジも含めて、フロンターレ中心のメンバーでオリンピックを戦った方がいいように感じます。共通の認識があるし、やろうとするサッカーがブレないでしょうから。

 U24代表は、3月のアルゼンチンU24代表とのゲームではいい戦いをしたのに、どうしてこんな風になってしまったのでしょうか。東京オリンピックまで時間がありません。これでは、結果なんて出せないでしょう。開催国なのですから、いいところを見せてほしい。応援しているからこそ、そう思います。

 国民の皆さんも、U24には失望したことでしょう。是非、オリンピックまでに奮起してほしいですね。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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