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ファンの声援を背に首位を走るユタ・ジャズ

林壮一ノンフィクションライター
37得点したドノバン・ミッチェル(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現在、西地区で首位を走るユタ・ジャズ。現地時間の8日、ホームでポートランド・トレイルブレイザーズを迎えたゲーム、そして10日のサクラメント・キングス戦には、それぞれ5546人のファンが詰めかけた。コロナ禍で、人数を制限してチケットを販売中だが、共に即日完売であった。

 8日のブレイザーズ戦は、1Q終了時で30-29、ハーフタイムで53-56と拮抗したゲームだったが、3Qにエースであるシューティングガードのドノバン・ミッチェルが奮起し、このQだけで13得点と流れをジャズに傾ける。

 3Q終了時には93-75であっさりと逆転。終わってみれば122-103の完勝だった。ミッチェルは、ゲーム最多の37得点を挙げ、存在感を示した。

216センチ、111キロのセンター、ルディ・ゴベール
216センチ、111キロのセンター、ルディ・ゴベール写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 20リバウンドしたルディ・ゴベールも、勝利に貢献した。ブレイザーズの両センター、ユスフ・ヌルキッチが6、エネス・カンターが7であることからも、ゴベールのゴール下支配率が窺える。

 この身長216センチ、体重111キロのフランス人センターは、NBA選手のなかでコロナウィルスに感染した一人目でもある。ゴベールが新型コロナウィルスに感染したことが判明したのは、2020年3月11日のオクラホマシティー・サンダー戦の直前であった。

 これを受けたNBAは活動休止を決め、長い自粛生活に入った。

待ち焦がれたアリーナでの観戦に胸を躍らせるNBAファン 4/7フィニックスにて
待ち焦がれたアリーナでの観戦に胸を躍らせるNBAファン 4/7フィニックスにて写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 昨シーズンはファンを入れずにプレイオフを行い、シーズンを終えた。今季は、南東部のアリーナから徐々にチケットを売り始めたが、シカゴ、オクラホマ、ポートランド、ロスアンジェルスを始めとしたカリフォルニア州のチームは、未だに無観客でのゲームが続く。トロント・ラプターズにいたっては、フロリダ州タンパのアマリー・アリーナを借りてホームゲームを実地している。

8日のブレイザーズ戦
8日のブレイザーズ戦写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ジャズは10日のキングス戦でも、ハーフタイム時点で59-65とビハインドを負ったが、これまた3Qにドノバン・ミッチェルが16得点の活躍を見せ、逆転。128-112で快勝した。ミッチェルはこの日もトータルで42得点を挙げ、ハイスコアラーとなった。

波に乗るジャズを牽引するドノバン・ミッチェル
波に乗るジャズを牽引するドノバン・ミッチェル写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 無論、ジャズがブレイザーズに競り勝ち、キングスを一蹴した要因はファンの声援だけではない。しかし、五分五分だった試合にリズムを生んだ背景の一つには、ホームアリーナの利点も挙げられるであろう。

コート上は華やかでも、アリーナは無人だ
コート上は華やかでも、アリーナは無人だ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 コロナが終息し、西側のチームにファンが姿を現すのはいつになるか。全てのアリーナが日常を取り戻し、満席になるにはまだ時間を要しそうだ。

 それでもNBAが稼働していることを喜びたい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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