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左膝を痛めたNBAのMVP男

林壮一ノンフィクションライター
オールスターでも放った16本のシュートを全て決め、MVPを獲得したアデトクンボ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現地時間4月2日に行われたポートランド・トレイルブレイザーズ戦に33分5秒出場し、47得点12リバウンドの活躍を見せたミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボ。そのパフォーマンスは力強かった。

4/2のブレイザーズ戦
4/2のブレイザーズ戦写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 アデトクンボの活躍もあり、バックスは127-109で勝利した。 試合後、バックスの背番号34は白い歯を見せながら語った。

 「とにかく最後まで攻め続けた。今夜の我々は、非常に生き生きとプレー出来た。流石に疲れたね(笑)」

 4月2日のゲームは、一試合平均29.8得点でリーグ2位のゴールスコアラーであるブレイザーズのデイミアン・リラードと、同28.3得点で5位のアデトクンボの対戦が注目を集めた。

両エースの対峙
両エースの対峙写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ハーフタイムまでにアデトクンボが挙げた得点は24、リラードは18。3Q、4Qで両者もチームも差が開いた。結局、34分14秒間コートに立ち32得点したリラードだったが、ブレイザーズはバックスとの直接対決で6連敗を喫した。

 リラードは試合後、

 「アデトクンボは、誰よりも持って生まれたものがある。彼を止めるのは難しい」

 と脱帽したように語った。

シュート成功率100%の離れ業を見せた今年のオールスター
シュート成功率100%の離れ業を見せた今年のオールスター写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 2人は今年のオールスターでチームメイトとなっている。アデトクンボは、放った16本のシュート全てを決めて35得点し、MVPを獲得した。

 バックスのマイク・ビューデンホルツァー監督も、「ヤニスの出来は素晴らしかった。決定的な仕事をしてくれた。フリースローラインからのジャンプは目を見張るものがある。今夜のゲームは彼にとって特別なものになったね」と話し、相好を崩した。

211cm、110kgとサイズも申し分ない
211cm、110kgとサイズも申し分ない写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ギリシャ人であるアデトクンボが、祖国でプロになったのは17歳の時。2013年のドラフトでバックスに指名されてNBA入りした。その潜在能力は高い評価を得、2017年以降はオールスターの常連となったが、ここへ来て更にステップアップを見せている。

 2019年、2020年とレギュラーシーズンのMVPも獲得した。まだ、26歳。もう一回り、二回り成長しそうだ。

兄も弟もNBA選手
兄も弟もNBA選手写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 しかし、である。

 アデトクンボは、ブレイザーズ戦の翌日行われたサクラメント・キングスとのゲームを欠場。左膝に激しい痛みを感じているという。

 バックスは今夜、ゴールデンステイト・ウォーリアーズと対戦する。果たして、アデトクンボはコートに立てるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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