もう"太っちょ"じゃない。統一ヘビー級王者が再起戦
2019年6月1日にアンソニー・ジョシュアを7回KOで下して、WBA/IBF/WBOヘビー級チャンピオンとなったアンディ・ルイス・ジュニア(31)。
ボクサーとは思えないボヨンボヨンの体ながら、ジョシュアのお株を奪って金星を挙げた"動ける太っちょ"は、愛嬌で人気を得た珍チャンピオンだった。
しかし、半年後のリターンマッチで、あっさりと王座を失う。
統一世界ヘビー級チャンピオンとなったルイスは、この世の春を謳歌し、連日パーティー三昧で練習に身が入らなくなった。快楽を覚えたルイスは、朝のロードワークに起きることさえ出来なくなっていく。
キャンプインしてからも、あそこが痛い、ここが痛いと週に4回くらいのトレーニングしかせずに、初防衛戦を迎えた。
ルイスと苦楽を共にして来たトレーナーのマニー・ロブレスは、そんな統一ヘビー級チャンプに落胆し、「アイツとは今回限りだ。魂の無い選手とは一緒にやれない! 選手もトレーナーも魂があって初めて共に闘える」と語った。
2019年12月7日の再戦は2名のジャッジが110-118、残る一人が109-119というワンサイドの判定で、ルイスは敗者となる。当然の結果であった。
そのルイスが1年5カ月ぶりのリングに上がる。5月1日に、同じカリフォルニア州南部出身のメキシコ系アメリカン、クリス・アレオラ(40)と拳を交えるのだ。FoxによるPPVでの放送も決定した。
33勝(22KO)2敗のルイスは言う。
「5月1日が楽しみで仕方ないよ。新たなトレーナーのエディ・レイノソの指導は素晴らしい。カネロと一緒に練習したりして、数段レベルアップした俺になった。今はモチベーションが違う。新しい自分を見せる!
クリス・アレオラのことは、彼がプロになったころから知っている。俺と同じでメキシコ系戦士だ。全てを懸けて戦いを挑んでくるだろう。絶対に後退はせず、ひたすら攻めて来る筈だ。俺はいいポジションを取りながら、より賢く戦う。そして、世界ヘビー級王座に返り咲いてみせるよ」
2003年のデビュー後、38勝(33KO)6敗1分けのアレオラも話す。
「ボクシング界で著名なジョー・グーセントレーナーと、ハードな練習を重ねています。私たちはルイス戦に向け、出来ること全てをやり切ってリングに上がります。2名のメキシコ系アメリカンのトップヘビーによる勝負です。生き残るか、全てが終わるかのサバイバルマッチになることを理解しています。勝利に向かって進むだけですよ」
心を入れ替えたルイスは、およそ30kg体を絞ったそうだ。日本時間3月31日午前5時から行われたZoom会見では、確かにスリムになった姿を見せた。顔つきも別人のように精悍だ。
果たして、元統一ヘビー級チャンプはどんな状態でリングに上がるか。何を見せるか。