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2度WBCスーパーミドル級王座に就いたアンソニー・ディレルが週末に再起戦

林壮一ノンフィクションライター
2度、WBCスーパーミドル級王座に就いたアンソニー・ディレル(写真:REX/アフロ)

 2014年8月16日、2019年2月23日と2度にわたってWBCスーパーミドル級王座に就いたアンソニー・ディレル(36)が、27日にリングに上がる。この試合を放送するFOXは「挑戦者決定戦」と謳っており、ディレルにとっては2019年9月28日にベルトを失って以来のファイトとなる。

 ディレルの試合を組むTGBプロモーションのトム・ブラウン代表は「アンソニー・ディレルは、ファイターになるために生まれて来た男だ。彼は2度の世界タイトルを手にするために、幾つかの壁を乗り越えねばならなかった。が、カムバックの度に以前より強くなった」と大風呂敷を広げる。

 とはいえ、ディレルは2回共、獲得したタイトルを初防衛戦で手放している。しかも、2019年9月28日の一戦はKO負けだった。

2019年9月28日の試合では9回KOで敗れた
2019年9月28日の試合では9回KOで敗れた写真:REX/アフロ

 再起戦を控えた33勝(24KO)2敗1分けの元チャンピオンは言う。

 「トレーニングキャンプは非常に上手く運んでいる。手応えは十分。対戦相手のカイローン・デイビスは、俺レベルの選手とやったことがない。ファンはKOシーンを期待しているだろう。俺は遊ばずに自分の力を見せてやるつもりだ」

 15勝(6KO)2敗のデイビスは、この試合のためにミドル級から増量した26歳。2020年1月18日の試合で4回KO勝ちを収め、FOX関係者の目に留まった。元チャンピオンに勝利してステップアップを狙いたいところだ。

 デイビスの2つの黒星のうちの一つは、パトリック・デイに喫したもの。デイは村田諒太のスパーリングパートナーとして来日し、27歳にしてリング禍によって夭折した選手である。

 デイビスは語った。

 「物凄くハードな練習をこなしているところです。この機会を与えてくれた方々に感謝します。勝算はたっぷりありますよ。自分の時代が来るんだということを、FOXテレビを通じてお見せします」

 両者の年齢差は10。果たして、どんな一戦となるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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