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SHOWTIMEが売り出す17戦全勝11KOのウエルター級新鋭

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 現地時間17日にコネチカット州モヒガンサン・アリーナで行われたウエルター級10回戦、ジャネルソン・フィゲロア・ボカチカとマーク・レイジェスとの試合は見応えがあった。

 このファイトはSHOWTIMEが世界王座を見据える期待の若手をセレクトして催す興行であり、同局の手でボクシングファンに新世代のスター候補を宣伝する狙いがある。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME  レイジェス(左)もタフさを見せた
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME  レイジェス(左)もタフさを見せた

 ミシガン州デトロイト生まれのボカチカは16戦全勝11KO、フロリダ州タンパ出身のレイジェスは14戦全勝12KO。

 両者はファーストラウンドから、フルスイングでの打ち合いを続ける。捨てパンチや強弱はほとんど無し。10ラウンド持ち堪えた方が勝つ、といった展開であった。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 レイジェスのローブローでボカチカが顔を歪めるシーンもあったが、共に下がらず、我慢比べでも引かない。2名のハートの強さが存分に伝わって来た。ペースダウンしないままフルラウンドを戦い抜いた両者には、<次>があるように映った。

 一人のジャッジは95-95のドローと採点したが、残る2名は97-93、96-94でボカチカ優勢とし、明暗が分かれた。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 22歳の勝者は言った。

 「判定に納得できない。俺が3-0の判定で勝っていた筈だ。まぁ、映像を見直してみるよ。楽勝だった。レイジェスにボクシングを教えてやった」

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 一方、プロデビュー以来、初黒星を喫した24歳のレイジェスは憤懣遣る方無いといった表情で語った。

 「何だ、この判定は。接戦ではあったが自分の勝利は明確だ。もっともっと厳しいトレーニングを積むしかないようだな」

 SHOWTIMEがサバイバルを制したボカチカを売り出すのは間違いない。が、レイジェスにも未来がある。両者の出世争いは、今後も続きそうだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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