ファーストラウンドでKO勝ちした注目のスーパーウエルター級20歳
1月30日に催されたIBFスーパーミドル級タイトルマッチの前座で、業界トップのリングアナウンサー、ジミー・レノン・ジュニアに「無敗の若きセンセーション」と紹介されたスーパーウエルター級のジョエイ・スペンサー。
面構えも、気の強さも、デビュー当時のフェルナンド・バルガスを彷彿させる。
スペンサーの動きはシャープだ。第1ラウンド1分。左フックで対戦相手の アイゼア・セルドンを半回転させ、狙い澄ましたワンツーをヒット。
右ストレートを顎に直撃されたセルドンは、マリオネットのように体を捻りながらリングに崩れ落ちる。
スペンサーの右は伸びがあり、スピードもタイミングも申し分なかった。まさしく<芸術的な一発>だった。
カウント8で起き上がったセルドンだが、左腕をスペンサーに巻き付け、右の拳でラビットパンチを出すくらいしか策が無い。この行為でセルドンには2ポイントの減点が告げられる。
成す術を失ったセルドンは大振りのパンチを振るうが、スペンサーは上下左右のステップで、自分の距離を保つ。
そして2分12秒にロングフックでダメージを与え、ワンテンポおいて2秒後にロングレンジからの右ストレートを浴びせる。
セルドンが腰からダウンすると、レフェリーが試合を止めた。公式ノックアウトタイムは2分15秒。
ボクシングの美しさを見せながら一方的な勝利を飾り、自身の戦績を12戦全勝9KOとしたスペンサーは、試合後、次のように話した。
「如何に仕留めるのが最善かを自分は理解していた。正直、どのように(ラビットパンチの)報復するかを考えていた。ヤツを痛めつけるチャンスを窺っていたんだけれど、レフェリーが試合を止めてしまった。
3月に21歳になるが、俺はもっともっと強くなる。そして今日のように相手を倒して、更に自信を深めていく」
確かにスペンサーはセンセーションとなれる逸材だ。今後、どのように伸びるか非常に楽しみな選手である。