米国3大ネットワークの一つであるCBSが選んだ2020年の「Fighter of the Year」は テオフィモ・ロペス・ジュニアであった。
無論、10月17日(現地時間)にラスベガスで催されたIBF/WBA/WBO/WBCフランチャイズ統一ライト級タイトルマッチで、ワシル・ロマチェンコを3-0(119-109、117-113、116-112)の判定で下した一戦が評価された。
CBSは選考理由を「他のトップ選手よりも、インパクトの強い勝利だった」と説明。
同ファイトにおけるロペスは、ひたすら前に出て攻めの姿勢を貫いた。試合開始直後から、リングジェネラルシップでポイントを稼いだ。その積極性は、新旧交代を印象付けるものであった。

投票の結果、2位だったのは2月22日にデオンテイ・ワイルダーをKOしてWBCヘビー級王者となったタイソン・フューリー。
フューリーは序盤からフェイントを多用し、ジャブを上下に散らしながら前進した。ラウンドを重ねるごとに、ボディショット、左フック、強いジャブ、そして強引なワンツーを放って、リズムに乗った。
3ラウンド、フューリーの右がワイルダーの左側頭部を捉え、ダウンを奪う。5ラウンドにも、フューリーが左フックから左ボディをヒットし、2度目のダウンを奪った。
第7ラウンドにワイルダーのコーナーからタオルが投入され、一方的な内容でフューリーが勝者となった。

日本ボクシング界の至宝、井上尚弥は選ばれないのか? と首を傾げる読者の方もいらっしゃるだろう。
こういった場合、ナショナリズムが票に反映されることが、ままある。アメリカの記者はアメリカンを、メキシコのメディアはメキシカンを推したくなるものだ。
とはいえマニー・パッキャオは、国籍や肌の色を超えた存在となった。一年後の投票では、井上がクローズアップされている可能性も大いにある。
コロナ禍において、プロモーターたちは、いかに試合を決めるかが今日の課題だ。ボブ・アラムが井上にどんなビッグネームとの試合をセットするかが、本場での評価に結び付きそうだ。