名伯楽ポポヴィッチが示す、スパーズ再生の道
1996年よりサンアントニオ・スパーズで指揮を執り、1999年、2003年、2005、2007年、そして2014年と5度、同チームをNBA王者に導いたグレッグ・ポポヴィッチ(71)。その間、彼は3度「最優秀監督」に選ばれた。
ポポヴィッチ率いるスパーズがプレイオフ進出を逃したのは、24シーズンのうち、2回のみ。彼の監督初年度と昨シーズンである。
ティム・ダンカン、マヌ・ジノビリ、トニー・パーカーといったスター選手が引退し、彼らに代わる選手を育成中であるとはいえ、クラブの社長も務めるポポヴィッチにとって昨季の成績は、到底受け入れられないものであった。
監督として25年目となる今シーズンは、1月17日時点で7勝6敗。現地時間18日は、敵地ポートランドに乗り込み、直近の6試合で5勝1敗と好調のトレイルブレイザーズと対戦した。
白星とは裏腹に、ブレイザーズは14日のインディアナ・ペイサーズ戦でセンターのユスフ・ヌルキッチが右手首を骨折し、一昨日のアトランタ・ホークス戦でもシューティングガードのCJ・マッカラムが左足を捻挫してコートに立てない状況に陥っている。
ブレイザーズのエースであるデイミアン・リラードは、主力選手の故障を嘆いたが、それ以上に目を惹いたのが、ポポヴィッチが作り上げたチームのシュート成功率である。放ったシュートの53.3%、3ポイントは45.5%を得点に結び付けた。
この日はスパーズが誇る2メートル11センチのセンター、ラマーカス・オルドリッジが自身の古巣であるブレイザーズに闘志を燃やして22得点した。また、スパーズにおいて最長プレー時間である32分17秒コートに立ったデマー・デローザンも、20得点11アシストでチームを引っ張った。
加えて、24歳の若きディジョンテ・マリー、32歳のベテラン、パティ・ミルズという2人のポイントガードを併用してコートに送った。スターターのマリーには31分32秒、ミルズには23分59秒プレーさせ、戦いのテンポを落とさなかった。
試合後、ポポヴィッチ監督は「彼ら2人のポイントガードは、誰が得点しようが全く気にせず、チームプレーに徹した。成すべき仕事を果たした」と振り返った。
ベンチスタートのスモールフォワード、ルディ・ゲイも23分30秒のプレーで21得点7リバウンド、バックアップセンターであるヤコブ・ポートルも21分32秒の出場で7リバウンド、11得点を挙げた。
結局、125-104でスパーズはブレイザーズを下した。
ブレイザーズのテリー・ストッツ監督は敗因に、ベンチスタートしたスパーズの選手たちのパフォーマンスを挙げた。「彼らにしてやられた」と唇を噛んだ。
リラードは、
「アグレッシブにプレーしたが……。いつもパーフェクトな仕事が出来る訳ではない。きっと次のゲームは今日よりもいいものになるだろう。ポジティブに勝利を目指していく」
と語ったが、ブレイザーズは35本の3ポイントを放ち、成功率は28.6%。安易に外から3ポイントを選択するシーンが目立った。
明暗を分けたものとは、ポポヴィッチの言った<成すべき仕事を遂行した>か否かだったように思える。
今後、名伯楽、グレッグ・ポポヴィッチがいかにチームを建て直していくか、見物である。