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13戦全勝10KOで注目されるロシア人ウエルター級

林壮一ノンフィクションライター
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 ラジャブ・ブタエフは、2019年11月30日にアレクサンダー・ベスプーチンと、空位だったWBAウエルター級タイトルを争い、0-3の判定負けを食らった。

 しかし、試合後にベスプーチンが禁止薬物を使用していたことが明らかになり、試合はノーコンテストとなる。

 2020年12月26日、ブタエフはベスプーチン戦以来のリングに上がった。

Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 対戦相手は9勝(5KO)1分けのテリー・チャットウッド。

 祖国であるロシアでアマチュアキャリアを積み、ニューヨーク州ブルックリンに居を構えて2016年3月25にプロデビューしたブタエフは、速いジャブを上下に打ち分けながら、時折左フック、右ストレートを放って先手を取る。

Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 1、2ラウンドは、やや、ブタエフが優勢という展開であったが、第3ラウンド、顔面への左フック、右ボディ、左ボディアッパーのコンビネーションでチャットウッドを沈める。

 拳がめり込むようなボディブローを見舞われたチャットウッドは、カウントアウトされた後も、呻き声を上げながら暫く起き上がれなかった。

Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 試合後、ブタエフは愛嬌たっぷりにアフロヘア―のカツラを被って、勝利者コールを受けた。今回だけでなく、何度かカツラを被る彼を目にしている。これが、ブタエフの習慣と呼べるものらしい。

Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 また、ブタエフの足元にも目が留まった。予てから、日本製、ミズノ社のリングシューズを愛用している。

 トーマス・ハーンズ、レノックス・ルイス、エリック・モラレス、リッキー・ハットン等から情報を得たのか。

 ブタエフは今後、2度目の世界ウエルター級タイトル挑戦を見据えていくだろう。ターゲットとするのはWBO王者のテレンス・クロフォードか、WBAチャンプの、マニー・パッキャオか。あるいは、WBC/IBFと2つのベルトを巻くエロール・スペンス・ジュニアか。

 いずれにせよ、見応えのある試合になりそうだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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