Yahoo!ニュース

メイウェザーが「俺を超える」と太鼓判を押す23戦全勝22KOのWBAライト級正規王者

林壮一ノンフィクションライター
2017年8月26日、デービスはメイウェザーvsマクレガー戦の前座を務めた(写真:ロイター/アフロ)

 10月31日、1万1500人のファンが詰めかけるテキサス州サンアントニオのアラモドームで対峙するWBAライト級正規チャンピオンのジャーボンテイ・デービス(25)とWBAスーパーフェザー級王者のレオ・サンタ・クルス(32)。

 結局、摩訶不思議なまま両者のタイトルが掛けられての世界戦となるが、SHOWTIMEによればチケットは3日で完売したそうだ。

 23戦全勝22KOで、IBF/WBAスーパーフェザー級、WBAライト級正規と、これまでに3本のベルトを巻いたデービスを、プロモーターとして支えるフロイド・メイウェザー・ジュニアは言う。

 「間違いなくジャーボンテイの時代が来る。今後はPPVでしっかり稼がせるよ。今の俺はプロモーターだからさ。この若者は生まれながらのスーパースターだ。最終的なゴールは、俺を超えることだね。

 今回、ジャーボンテイはラスベガスで12週間のトレーニングキャンプを張っている。もちろん、俺も練習をサポートしているよ。非常にいい状態だ。現時点でライト級のリミットを1パウンド下回っている。全て順調だよ」

 1994年11月7日生まれのデービスは、5歳にして両親と離れ離れになった。父は刑務所、母はドラッグ中毒であった為、身寄りのない少年少女を保護する施設に入れられた。

 ボクシングジムに通い始めたのは7歳の時。翌年、初のアマチュアの試合を経験した。言わば、ジムで育った男である。

 メイウェザーは「自分はジャーボンテイにとって、兄以上の存在だと思う。父親ってところかな…今や、彼はメイウェザー・ファミリーの一員だ。俺たちは負けを知らないんだぜ」と豪語する。

 Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 一方、37勝(19KO)1敗1分けの戦績で、IBFバンタム級、WBCスーパーバンタム級、WBAフェザー級、WBAスーパーフェザー級と4階級を制し、5階級目を狙うサンタ・クルスは、実父が血液の癌で臥せってる。ステージ3だという。

 クルスは語る。

 「父からは、『お前の仕事はジムで練習する事だ』と言われている。彼を元気づける為にも、勝たねばならない。4階級制覇は、父のサポートがあったからこそ成し得た。自分がやらねばならないこと、向かうべき道が何であるかを教えてくれたのは父だ」

 クルスの左上腕には、父親の姿のTATTOOが見られる。

 UKのオンライン新聞『The SUN』によれば、契約ウエイトは130パウンドのスーパーフェザーであるとか。これが事実だとすれば、2017年8月26日にリミットを2パウンド、オーバーしてIBF同級タイトルを剥奪された過去を持つデービスが不利にも思えるが……。

 ようやくファンをアリーナに迎えての世界タイトルマッチだけに、いい試合を期待したい。

 勝者は是非とも、統一ライト級チャンピオンとなったテオフィモ・ロペス・ジュニアと戦ってほしい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事