新旧交代を告げた統一ライト級タイトルマッチ

戦績を16戦全勝(12KO)としたテオフィモ・ロペス・ジュニア(写真:ロイター/アフロ)

 パウンド・フォー・パウンドと呼ばれていたワシル・ロマチェンコ(32)は、脇腹の贅肉を削ぎ落とせていなかった。

 劣勢が予想された23歳のテオフィモ・ロペス・ジュニアは、オープニングベルから積極的に手を出した。

 

 10月17日(現地時間)ラスベガスで催されたIBF/WBA/WBO/WBCフランチャイズ統一ライト級タイトルマッチは、3-0(119-109、117-113、116-112)の判定でテオフィモ・ロペス・ジュニアがワシル・ロマチェンコを下した。

 身体付きも、闘志も、年齢差以上のものを感じさせた。が、現在、判定を巡る論争が止まらない。ロマチェンコも自身の勝利を唱えている。また、試合を放映したESPNも採点が読み上げられるに前にアナウンサーが「接戦だ」と発言した。

 米国で催される世界戦を取材すると、試合後に必ずスコアシートと共にCompuBox社がはじき出した両ファイターのパンチ数、クリーンヒット数の統計がメディアに配布される。

 それによれば、今回ロペスが放ったパンチは659、ロマチェンコが321、そのうちヒットの数はロペスが183、ロマチェンコが141。パーセンテージで述べれば、勝者の28%に対し、敗者は44%ということになる。

 繰り出したジャブを比較するとロペスが295、ロマチェンコは149。ヒット数はロペスが12%の35、ロマチェンコは42%の63。強打は364発中41%の148を当てた勝者に対し、前WBA/WBO/WBCフランチャイズ王者は172発中45%の78発であった。

 ロペスはひたすら前に出て攻撃の姿勢を貫いた。試合開始直後から、リングジェネラルシップでポイントを稼いだのだ。

 反面、クリーンヒット数は多いが、手数が少なかったロマチェンコは敗北を喫した。

 1997年4月12日、オスカー・デラホーヤがパーネル・ウィティカーを下して4階級制覇を成し遂げた際も、クリーンヒット数ではウィティカーの方が圧倒的に多かった。しかしジャッジは、空振りを繰り返しながらも常に前進を続けたゴールデンボーイを優勢とした。

 1999年9月18日、そのデラホーヤがフェリックス・トリニダードとWBC/IBF統一ウエルター級タイトルマッチで拳を交えた折には、終盤に足を使って捌いたデラホーヤよりも、獲物を追い続けたトリニダードが評価され、僅差の判定で勝利を掴んだ。

 そんな実例があるだけに、私は中盤まで攻めずに相手を見過ぎていたロマチェンコの敗北は当然だと感じる。冒頭でも記したが、この試合に懸ける思いは、両者の身体を見れば明白だった。

 ジョージ・フォアマンの弟、ロイは「ロマチェンコは14カ月ぶりのファイトで、ブランクの影響があったようだ。リターンマッチをすべきだ。興行的にも旨味があるだろう」と話す。

 が、ロペスは試合後、スーパーライト級への転向を仄めかした。ロペスはロマチェンコを<稼げる挑戦者>と見るであろうか。

 騒がれているほどの疑惑の判定とは、どうしても思えない。ロマチェンコ陣営は、過去にラスベガスで行われたデラホーヤのビッグマッチ2試合を、何故参考にしなかったのか。