Yahoo!ニュース

アルゼンチン人コーチが語る「久保建英はフル出場させるべきでした」

林壮一ノンフィクションライター
後半19分に投入され、終了間際に直接FKを狙ったが…(写真:ロイター/アフロ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、栃木SC所属のエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 昨年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、この程、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとなった彼が、10月9日にカメルーンと0-0で引き分けた日本代表について語った。

撮影:著者
撮影:著者

 日本代表もカメルーンも出来が悪かったですね。レベルの低いパフォーマンスに終始し0-0で終わってしまいました。まぁ、コロナの影響で、代表としての活動ができなかった、言わばブランク明けのゲームですから仕方が無いのかな……。

 メンバーが集まっていきなりの試合ですから、ピッチ上もバラバラな感じでしたね。

 それでも、吉田麻也、酒井宏樹、冨安健洋のDF陣は、しっかり守って、安定感を見せました。カメルーンにほとんどシュートを打たせませんでしたよね。安西幸輝も頑張りましたし、原口元気も献身的にカバーしていました。守備面は評価できます。

 前半は4バックだったのを、後半に3バックにしましたね。3バックにすると、サイドバックのオーバーラップが無くなります。酒井は後半、攻撃参加できなくなった。日本代表の本来のサッカーは、両サイドバックの攻撃力が一つのアクセントになる筈です。

 攻撃面は問題です。南野拓実も堂安律も消えていましたね。大迫勇也、原口も、持ち味を出せなかった。

 その点、一度左サイドを抉り、最後にFKを蹴った久保建英は、今日の日本代表の中で存在感を出したと言えるでしょう。

 日本が今後、久保にサムライブルーの未来を託すのであれば、スタメンで使えばよかったですね。マジョルカでレギュラーだった時期もありますが、ベンチを温めることも少なくなかったし、ビジャレアルでもベンチ、代表でもベンチでは、なかなか育たないですよ。特にカメルーン戦はワールドカップの予選じゃなくて、強化試合なんです。

 日本の宝物として、飛び級でA代表に入れているんだから、フル出場させて経験を積むことが彼には必要でしょう。90分使ってみないと、どこまでやれる選手か分からないじゃないですか。

 カメルーン戦の日本代表からは、サムライブルーのユニフォームを着ていることのプライドが伝わって来なかったです。もっと戦う姿勢を持ってほしいですね。色々反省して、勉強して、ワールドカップ予選に繋げてほしいです。今日の試合はガッカリでしたが、日本サッカーの成長を切に願います。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事