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ロケッツの知将、マイク・ダントーニがヒューストンを去る

林壮一ノンフィクションライター
現役時代はキングス、スパーズなどでガードとしてプレーした(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 NBAプレイオフ西地区セミファイナルで、ロスアンジェルス・レイカーズに1勝4敗で敗れたヒューストン・ロケッツ。ロケッツの監督を務めたマイク・ダントーニ(69)は、来季、同チームで指揮を執らないとアナウンスした。

 ダントーニは語った。

 「ロケッツは気高い組織であり、ヒューストンは素敵な地。ファンもチームも素晴らしい。全て文句のつけようが無い。が、4シーズン必死で働いた私が、今後チームを向上させられるのかという疑問がある」

撮影:著者
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 ロケッツのオーナーであるティルマン・ファーティッタは、ダントーニ夫妻に対する感謝の言葉を述べながら「マイクは本物のプロであり、偉大なるバスケットボール愛を持っている。彼は勝者であり、4年に及ぶロケッツでの素晴らしい働きとリーダーシップに心から敬意を払う」と話した。

撮影:著者
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 ESPNによれば、ロケッツにおけるダントーニの戦績は、4シーズンで217勝102敗。昨年のプレシーズンマッチでは、日本も訪れた。https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20191010-00145987/

 私にとって最も印象に残っているのは、2018年に起こしたセンセーションである。https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20180401-00083404/

 ダントーニの戦術が浸透し始め、ジェームス・ハーデンがチームを牽引して連勝を続けた。非常に勢いがあり、連日、ヒューストンのホームアリーナであるトヨタセンターはフルハウス。前年の夏にハリケーン・ハービーに襲われたヒューストン市民を勇気付けた。

 ジェームス・ハーデンは、この4年間を振り返り「マイクはロケッツで、信じられない事を成し遂げた」と発言している。

撮影:著者
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 ダントーニはフェニックス・サンズ、ニューヨーク・ニックス、レイカーズ、フィラデルフィア・セブンティシクサーズ、そしてロケッツと5チーム、計1199ゲームで指揮を執り、通算戦績は672勝527敗。NBAでは2度、最優秀監督賞に選ばれた。特筆すべきは2004-05シーズンで、彼が監督となってからのサンズは、62勝20敗と勝ち星を重ねた。

撮影:著者
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 先日、ブルックリン・ネッツの新監督にスティーブ・ナッシュが決まったが、https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20200917-00197046/セブンティシクサーズ、インディアナ・ペイサーズ、オクラホマシティ・サンダー、ニューオーリンズ・ペリカンズは、来シーズンの監督が未定である。

 どこかのチームが手を挙げるか? セブンティシクサーズがオファーするという噂もあるが……。ダントーニのチーム作りをまた目にしたい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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