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アルゼンチン人コーチが語る「今季のレッズは、興梠慎三の良さを活かせていない」

林壮一ノンフィクションライター
8シーズン連続で2桁得点している興梠慎三(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、栃木SC所属のエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 昨年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、この程、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとなった彼が、前節でセレッソ大阪にいいところ無く、0-3で敗れた浦和レッズについて語った。

撮影:著者
撮影:著者

 今夜(9月9日)は、埼玉スタジアムで浦和レッズとサガン鳥栖のゲームが行われますね。前節のセレッソ大阪戦、レッズは0-3で敗れました。ミスが多かった。相変わらず繋ぐサッカーをしたいのか、サイドを抉るサッカーをしたいのか、後ろからロングボールを蹴っていくのか、何を狙っているのか全く分からなかったです。

 いつも言いますが、浦和レッズは僕が在籍したチームです。僕だけでなく、兄も息子も、あの赤いユニフォームを着ました。引退後、僕はレッズ・ジュニアユースのコーチをしていましたから、思い入れがあるんです。けれど、今のレッズを見るとため息しか出ません……。

 若い選手を使いながらバランスを取りたいんでしょうが、どうもピンと来ませんね。世代交代の土台作りだとしても、コンセプトが見えない。

 特に疑問に感じるのは、興梠慎三の起用です。セレッソ大阪戦ではスタメンで起用されましたが、彼に有効なパスが渡っていませんね。興梠の得点感覚は本物です。独特の嗅覚を持っている。だからこそ、昨シーズンまで8年連続で2桁ゴールを挙げているんです。34歳のベテランですが、今のレッズが勝つには、代えが利かない選手です。

 現時点で14得点している柏レイソルのオルンガを5ゴール差で追い掛けるレオナルドがレッズの得点源になっていることは事実です。でも、レオナルドばかりに頼るのではなく、興梠の良さをもっと使わなければ。他の選手は、なかなか得点できないですから。興梠は、スペースの使い方が抜群に上手いので、レオナルドともいいコンビネーションを築くと思いますよ。今シーズンの興梠がまだ2得点であることを、僕は重く見ています。

 今夜のゲームでは、興梠慎三が100%の実力を発揮できる采配を切望します。僕はレッズに優勝争いをして欲しい。強いレッズが見たいです。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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