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白人警官に殺害されたジョージ・フロイドへ~KING レブロンやメイウェザーが、それぞれの追悼~

林壮一ノンフィクションライター
ジョージ・フロイド殺害事件が、全米中に暴動を引き起こしている(写真:ロイター/アフロ)

 白人警官に窒息死させられたジョージ・フロイド(46)を巡り、バスケットボール界唯一無二のKING、レブロン・ジェームズはツイッターで「“Why Doesn’t America Love US!!!!!???? TOO.(何故アメリカは俺たちを愛さないのだ)」と投げ掛けた。

 レブロンは2014年7月に警官に首を絞められ、同じように「息が出来ない」という言葉を吐いて亡くなった43歳の黒人男性、エリック・ガーナーの事件が起こった時も、胸に<I can’t breathe(息が出来ない)>と書かれたTシャツを着て、アメリカ社会へメッセージを送った。

 黒人初の大統領が誕生した折には、深夜だったにも拘わらず子供たちとTVの前に座り「歴史を体感しろ」と告げている。

 今回のツイッターも、KINGらしい振る舞いである。

撮影:著者
撮影:著者

 ボクシング界で長くパウンド・フォー・パウンドの座に就いていたフロイド・メイウェザー・ジュニアも、ジョージ・フロイドの葬儀に金銭的援助をするとアナウンスした。

 メイウェザー・ジュニアは、自身が初めて世界タイトルを獲得した際の対戦相手であったジェナロ・"チカニート"・ヘルナンデスが2011年6月に45歳で鬼籍に入った時にも、幾ばくかを包んでいる。自らをMoney(金の亡者)としているが、毎年11月の感謝祭では恵まれない子供たちに七面鳥を配り続ける一面を持っている。

撮影:著者
撮影:著者

 レブロン、メイウェザー・ジュニアの行動からは、黒い肌に浴びせられる視線への憤り、そしてやるせなさを感じる。

 さて、今回、ジョージ・フロイドを死に至らしめた元白人警官、デレック・チョーヴィン(44)が収容されているHennepin郡拘置所より、彼の直近の写真を入手した。

写真:Hennepin County Jail 提供
写真:Hennepin County Jail 提供

 2001年10月より警官としてのキャリアを重ねて来たチョーヴィンは、2006年に複数の同僚と共に家庭内暴力の疑いのあるウェイン・レイジェスを追跡中に発砲している。そして容疑者の命を奪った。

 もっとも、この件は複数の警官が多数の銃弾をレイジェスに向けているため、直接の死因がチョーヴィンが放った弾だったかどうかは解明されていない。

 2008年にもチョーヴィンは暴力被害の通報を受けて現場に駆け付け、バスルームに隠れていた黒人男性の腹を2度撃っている。

 ジョージ・フロイドの死は、起こるべくして起こったのかーーーー。

 チョーヴィンの裁判では、どの程度、被害者の尊厳が守られるのか。先日も記したように、この手の裁判が厳正に行われないのがアメリカ合衆国である。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20200601-00181015/

 レブロンやメイウェザーは、どのように裁判を観察するのか。行方を見守りたい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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