WBA/IBFスーパーウエルター級新チャンピオン誕生
第5ラウンド、チャンピオンを青コーナーに詰めた24歳のドミニカン、ジェイソン・ロサリオの右アッパー、左フックがジュリアン・ウィリアムズを捉える。王者が大きくよろけ、腰を落としたところでレフェリーが2人の間に入って試合は終了した。
1分37秒、ロサリオはTKO勝ちで新チャンピオンとなった。
ロサリオにとっては世界初挑戦だった。挑戦者が積極的に手を出すと、第2ラウンドにウィリアムズが右目をカット。ウィリアムズは劣勢を挽回すべくパワーパンチを繰り出すが、ペースを引き戻せない。第4ラウンドまでの採点は、39-37で2名がロサリオの優勢と判断。残る1名は38-38としていた。
ロサリオは振り返る。
「リングに上がった瞬間、勝てると思った。自分のパワーがウィリアムズを凌駕していると。16週間のトレーニングキャンプがいい結果に結びついた」
そして、新チャンピオンは試合前と同じ言葉を口にした。
「自分は”敗北”から多くを学んだ。世界タイトルを手にするまで、もう絶対に負けられないと言い続けて来た。それが今日、現実になったね。十二分に準備したので、勝つことは試合前から分かっていた」
共に1敗している者同士の対戦だったが、今回はロサリオのモチベーションの方が上だったように映る。故郷、フィラデルフィアにチャンピオンベルトを巻いて凱旋したウィリアムズに対し、ロサリオの目には、敵地に乗り込んできた者ならではのギラつきがあった。
「今は、勝利を噛みしめている! タイトル奪取は自分とドミニカ共和国にとって、とてつもなく大きい」と話したロサリオの姿は、プエルトリコを背負ってオスカー・デラホーヤとの全勝対決を制したフェリックス・トリニダードを彷彿とさせた。https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20170711-00073145/
敗れたウィリアムズは、次のようにコメントした。
「今夜のロサリオは俺よりも上だった。せっかくホームタウンに戻って来たというのに、ファンの期待に応えられなくて申し訳ない。反省して、改善すべき点を直していくよ。ロサリオには、是非、リターンマッチを受けてもらいたい」
「ロサリオが素晴らしいファイターであることは認める。試合前から俺は、周囲の人々に『彼は本物だ』と言っていたし、この結果を受け入れるよ。右目の視界を奪われたから負けたって訳でもない。今夜は彼が自分よりも上だったってことさ。俺は必ずカムバックするから、リターンマッチでもう一度ロサリオと対峙したい」
ベルトを巻いたロサリオは「これで人生が変わる。今までとは違った方法で、家族をサポートすることが出来る」と語った。その飢えを、いつまで持続できるかが、新チャンプの未来を左右するように思う。