ワイルダーに健闘した40歳のオルティスと現統一王者のアンディ・ルイス・ジュニア戦が見たい
ご存知のようにWBCヘビー級王者、デオンテイ・ワイルダーがKO勝ちを収め、同タイトル10度目の防衛に成功した。第7ラウンド残り6秒で、右ストレートをぶち込み、1発で40歳の挑戦者、ルイス・オルティスを沈めたのだ。
6ラウンド終了までの採点は、59-55が2名と58-56が1名で、オルティスがリードしていた。ワイルダーのワンパンチKOを讃え、ヘビー級タイトル10度防衛はジョー・ルイス、モハメド・アリ、マイク・タイソン、ラリー・ホームズ、トミー・バーンズ、クリチコ兄弟らしか成し遂げていないと報じるメディアもあるが、素材も実力も迫力もそこまでのチャンプではない。
むしろ今回の試合では、40歳にして自身を作り上げたオルティスの健闘が光った。「キューバ人初の世界ヘビー級チャンピオンになってみせる!」という気迫を、試合開始のゴングから強く見せた。ワイルダーは終始後手に回らざるを得なかった。
なかなか世界戦のチャンスに恵まれないオルティスだが、自身の株を上げた。敢えて述べれば、昨夜のオルティスには、<美しき敗者>ノニト・ドネアに通じるものがあった。
試合後、オルティスは語った。
「判定までもつれることはないと思っていた。レフェリーがカウント・セブンを数えた時、私は起き上がるつもりだった。ちょっとカウントが早かった気がする。強打も浴びせたし、私の動きにワイルダーは苦しんでいたよね。まだやれた‥‥。
でも、これがボクシングだ。チャンピオンは自身が偉大なことを示した。でも私は、自分の仕事ぶりを恥じてはいない。ヘビー級のファイターたちを打ち負かす自信はある。まだ引退はしない。もう一度、ビッグマッチのリングを目指す」
”ビッグマッチ”とは即ち、世界タイトルマッチに他ならない。ワイルダーは次戦でタイソン・フューリーを希望しているし、3度同一カードというのは現実的ではない。オルティスは必然的に他団体王者をターゲットにすることとなる。現在WBAスーパー、IBF、WBOのベルトを巻いているのは、あの太っちょチャンピオンのアンディ・ルイス・ジュニアだ。12月7日にアンソニー・ジョシュアとのリターンマッチを控えているが、ルイスもヒスパニック系であり、どことなくオルティスとキャラクターがカブる。
私は、この両者は面白いファイトをするような気がしてならない。12月7日にどんな結果が出ても、ルイスvs.オルティス戦が実現することを願う。