ボクシング界の女王、クラレッサ・シールドの凱旋ファイト ~3階級制覇なるか~
17歳にしてロンドン五輪の金メダリストとなり、4年後のリオでも2つ目の金メダルを獲得したクラレッサ・シールド(24)。2016年11月にプロに転向し、目下9戦全勝2KO。4戦目で女子WBC & IBFスーパーミドル級、6戦目で女子WBA & IBF ミドル級タイトルを獲得し、現在はWBC、WBO、WBCダイヤモンドを加えてミドル級タイトルを統一している。
先日、そのシールドの次戦が発表された。10月5日、故郷で元IBOミドル級王者であるウクライナ人、イヴァナ・ハバジン(29)とグローブを交える。更に階級を一つ落とし、スーパーウエルター級でWBC&WBOタイトルが掛けられそうだ。
シールドがボクシングを始めた11歳の頃から、彼女を指導したのはジェイソン・クラッチフィールドという名の元6回戦ファイターだった。ジェイソンはKRONKに所属した選手である。つまり、トーマス・"ヒットマン"・ハーンズ、ミルトン・マクローリー、マイク・マッカラム、マイケル・モーラーらと共に、エマニュエル・スチュワードの教えを受けた。
KRONKで徹底的に叩き込まれるのは、バランスだ。生前、スチュワードは口を酸っぱくしてバランスの重要性を説いた。
ジェイソンは7勝(5KO)1敗1分けで引退し、電気技術者として生計を立てながらボランティアでボクシングの指導を続けた。シールドが連打の際に見せるバランスの良さは、KRONKのDNAと言っていい。
1995年、シールドはKRONKの本拠地であるデトロイトに程近いフリントで誕生した。ボクシング経験のあった父親は、シールドが2歳から9歳だった頃まで、囚人服を身に纏っていた。シールドは母親、妹と一緒に生活保護を受けながら成長している。こんなバックグラウンドも「貧民窟を抜け出してみせる」と闘ったハーンズを思い起こさせる。
シールドは言う。
「ずっと待ち望んでいた故郷での試合はとても幸せ。プロで9試合戦ったけれど、アマだった18歳以来、地元のリングには上がっていないの。ハバジンも勝ちに来るでしょうけど、私の家族や友人たちの前で、この私を打ち負かすのは不可能。今回は彼女を叩きのめすわ。KOしてみせる!」
5試合、ノックアウトから遠ざかっているシールド。故郷で、どんなファイトを見せるか。