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太っちょ統一ヘビー級チャンピオンの初防衛戦はサウジアラビアでのリマッチ

林壮一ノンフィクションライター
「マッチョになる気はないが、身体を絞る」と語る王者、アンディ・ルイス・ジュニア(写真:ロイター/アフロ)

 6月1日に大金星をあげWBAスーパー、IBF、WBOヘビー級タイトルを奪取したアンディ・ルイス・ジュニアと、前チャンピオン、アンソニー・ジョシュアとのダイレクト・リマッチが決まった。12月7日。場所はサウジアラビアのリヤド。

 アンディ・ルイス・ジュニアはメキシコ系初の最重量級王者である。

 同じヒスパニックでヘビー級世界王者となった一人目は、2001年3月3日にイベンダー・ホリフィールドに判定勝ちしたプエルトリカン、ジョン・ルイーズ(WBA)だが、五分五分のファイトであったこと、ミドル級でプロのキャリアをスタートしたロイ・ジョーンズ・ジュニアに敗れてベルトを失ったことから、大きなインパクトは残せなかった。

 22戦全勝21KOと期待を集めていたアンソニー・ジョジュアに対し、第3ラウンドにダウンを奪われながらも、同ラウンドと第7ラウンドに2度ずつチャンピオンをキャンバスに沈めたアンディ・ルイスの勝利は、ボクシング界全体に鮮烈な印象を与えた。

 それ以上に目を奪われたのが、ボクサーとは思えないぽっちゃりしたルイスの体型である。「こんな体でリングに上がれるの?」と懐疑的な視線を浴びながらも、思いがけないフットワーク、ハンドスピード、勘の良さを見せた。

 今回のリマッチに向け、ルイスは「もっと身体を絞ってリングに上がるよ。チャンピオンになってからスニッカーズ(チョコレート・バー)は口にしていない。クラブサンドウィッチやチキンヌードルスープを食べているんだ」と話す。

 両者の第1戦が行われたマジソン・スクエア・ガーデンでも、前王者のお膝元の英国でもなく、サウジアラビアが会場となる点も非常に興味深い。

 1974年10月30日にザイールで催された『ランブル・イン・ザ・ジャングル』ジョージ・フォアマンvs.モハメド・アリ、1975年10月1日にフィリピンで組まれた『スリラー・イン・マニラ』モハメド・アリvs.ジョー・フレジャーIIIを彷彿とさせる。

 果たして、どんな試合になるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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