アルゼンチン人コーチが語る「ロシアW杯ファイナル」
アルゼンチン出身。兄は1979年ワールドユース東京大会でマラドーナと共に世界一となったピチ・エスクデロ。息子は現京都サンガの背番号10、エスクデロ競飛王。
自身はアルゼンチン、スペインでプロとしてキャリアを積み、アルゼンチンユース代表、ビーチサッカーアルゼンチン代表に選出された。引退後は、柏レイソル青梅、レッズ・ユース、埼玉栄高校、エルサルバドルのプロチームでの指導者を経て、現在は、埼玉県に発足したクラブチームFC Futureで指揮を執るセルヒオ・エスクデロ。
彼にロシアワールドカップ決勝、3位決定戦について訊いた。
ワールドカップも3位決定戦と決勝を残すばかりとなりましたね。今回のロシア大会は、前回優勝のドイツ、準優勝の我がアルゼンチン、他にも優勝候補と呼ばれたブラジル、コロンビア、ウルグアイといったチームが早々と姿を消しました。僕としては、ベスト4に南米勢が1つも残れなかったのは非常に残念です。
でも、それは世界のサッカーに“差”が無くなってきたことを示しています。アジアとアフリカは、もうちょっと頑張らないといけませんが…。
明日の3位決定戦は、2-0でイングランドが勝つと僕は予想します。ベルギーは、#10アザールのドリブルが冴え渡り、ファールしなければ彼を止めるのは難しい状態です。でも、#9ルカクと#7デブルイネの調子がイマイチです。アザールが決定機を演出しても、フィニッシュが雑なんですね。
その反面、イングランドは若手中心のメンバーで、伸び代を感じさせます。若い選手たちの呼吸の良さがイングランドの武器になるでしょう。
さて、決勝のフランスvs.クロアチアですが、これは本当に五分五分の闘いになるでしょう。どちらが勝つとは、僕は言えないなぁ。
決勝までの休息日が、フランスが1日多いことは計り知れないアドバンテージになります。前回のブラジルワールドカップ決勝も、ドイツの方が我がアルゼンチンよりも1日オフが長かったんです。その差は大きかった。
フランスは、Wボランチの#13カンテと、#6ポグバがチーム全体のバランスを見事にとっています。そして、右サイドの#10エムバペ、左サイドの#14マチュイディのサイド攻撃も効いている。まぁ、エムバペの方が目立っていますが(笑)。彼らが外から抉って、前線の#9ジルー、#7のグリーズマンにボールを送るサッカーは理想的ですね。
クロアチアはここまで、3試合連続で延長を闘っていますから、かなり疲弊しています。それでも信じられないほどの精神力を見せますよね。あの強靭なメンタルが礎となった“頑張り”で、ボールを追い続け、こぼれ球を拾いまくっています。本当にハードワークで、素晴らしいの一言ですよ。
クロアチアの#2ブルサリコ、#21ビダというDFラインは体を張って闘えますし、前線の#4ぺリシッチ、#17のマンジュキッチも、「もう走れない」ところまで、走りぬくでしょう。
そんなクロアチアの精神的支柱は、なんと言っても#10のボランチ、モドリッチです。レアル・マドリードでも10番を背負っているだけのことはあります。あの闘志には頭が下がります。そして、バルセロナ所属の#7ラキティッチもいい動きをしています。両チームのボランチ対決は見物ですね。
フランスは若い選手が多いので、今後に繋がる大きな1歩になるゲームです。が、クロアチアは主力メンバーが30歳を超えていますから、今回を逃すとワールドカップで優勝するのは、ちょっと難しいかな…。
クロアチアの疲労は激しいでしょうが、それを吹き飛ばすハートをファイナルでも見せてくれるでしょう。間違いなく、決勝も延長になると思います。後々まで語り継がれる好ゲームになると予想します。