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アルゼンチン人コーチが語る「日本vs.コロンビア戦を見て」

林壮一ノンフィクションライター
日本の2点目を挙げた大迫勇也(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 アルゼンチン出身。兄は1979年ワールドユース東京大会でマラドーナと共に世界一となったピチ・エスクデロ。息子は現京都サンガの背番号10、エスクデロ競飛王。

 自身はアルゼンチン、スペインでプロとしてキャリアを積み、アルゼンチンユース代表、ビーチサッカーアルゼンチン代表に選出された。引退後は、柏レイソル青梅、レッズ・ユース、埼玉栄高校、エルサルバドルのプロチームでの指導者を経て、現在は、埼玉県に発足したクラブチームFC Futureで指揮を執るセルヒオ・エスクデロ。

 彼に19日のコロンビア戦について訊ねた。

写真:本人提供
写真:本人提供

 日本代表、コロンビアに勝ちましたね! おめでとうございます!! 2-1ですね…良く頑張りました。

 今回のワールドカップは、前回優勝のドイツが初戦を落とし、準優勝した我がアルゼンチンも引き分け、強いと言われているブラジルも引き分けでのスタートとなりました。これは、世界のレベルが並んで来た証だと僕は見ています。

 そんななかで、コロンビアは日本代表を舐めていました。4年前に圧勝したイメージがあったのかな。

 背番号10のエース、ハメス・ロドリゲスを先発で起用しなかったことからも、ホセ・ペッケルマン監督が日本を軽視していたことは明確です。途中からピッチに立てる状態なのであれば、ワールドカップ初戦に間に合うようにさせるべきでした。

 また、攻撃のキーマンである背番号11のクアドラードを途中で下げましたよね。クアドラードはユベントスで活躍している主力ですよ。個人的には、あの采配に疑問が残ります。何故なら、クアドラードがいなければ攻撃のバリエーションがかなり減りますから。実際、ストライカーのファルカオには、1度もきれいな形でボールが渡りませんでした。

 クアドラードがピッチを去る様子を見て、僕は、ペッケルマンがドイツワールドカップの最終戦でメッシを使わなかったことを思い出したんです。当時、ペッケルマンはアルゼンチン代表監督でした。メッシを起用しなかったことについて、アルゼンチン国内で彼は、「臆病者!」と呼ばれ、目茶苦茶叩かれたんです。

 今日、ペッケルマン監督は、焦ってハメス・ロドリゲスをピッチに送り込みましたが、コンディションは良くなかったですね。身体にキレが無く、ブヨブヨでした。

 確かに試合開始から3分で、ゴロンビアに退場者が出たのは大きかったです。でも、両翼の乾と原口が身体を張って相手のサイドを潰しました。今日、彼らはほとんど攻撃ができなかった。

 長谷部、柴崎のダブルボランチもディフェンス面でいい仕事をしましたね。パラグアイ戦を見る限り、僕はDFに不安を感じていましたが、吉田、酒井宏樹、昌子、長友の4名はずっと集中力を切らさずに、凌ぎ切りました。大金星ですよ。

 大迫のヘディングシュートも見事でした。大迫は、コロンビアのDFにきちんと競り勝って、ヘディングを叩き込んだのです。ブンデスリーガで揉まれているからこそのゴールでしょう。

 本田のコーナーキックも良かったです。でも、彼はプライドが高いですから、あの程度では納得できないでしょう。スタメンの座を奪い返してやるぞ、と虎視眈々と狙っている筈です。

 西野監督は、選手とうまくコミュニケーションを取っていると聞きます。選手各々が、意識を高め、いい状態でワールドカップを迎えました。今日の勝利で、チーム全体が勢い付き「行ける!」と感じているでしょう。

 2戦目もいい試合を見たいですね。期待しています!

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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