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アルゼンチン人コーチが語る「サムライブルー、コロンビアとの戦い方」

林壮一ノンフィクションライター
12日、パラグアイ戦のスターティング・イレブン(写真:ロイター/アフロ)

 アルゼンチン出身。兄は1979年ワールドユース東京大会でマラドーナと共に世界一となったピチ・エスクデロ。息子は現京都サンガの背番号10、エスクデロ競飛王。

 自身はアルゼンチン、スペインでプロとしてキャリアを積み、アルゼンチンユース代表、ビーチサッカーアルゼンチン代表に選出された。引退後は、柏レイソル青梅、レッズ・ユース、埼玉栄高校、エルサルバドルのプロチームでの指導者を経て、現在は、埼玉県に発足したクラブチームFC Futureで指揮を執るセルヒオ・エスクデロ。

 彼に19日のコロンビア戦について訊ねた。

写真:本人提供
写真:本人提供

 12日のパラグアイ戦は良かったですね。攻撃陣の新しい顔ぶれが、うまく機能したと思います。もっとも、DF陣は簡単にやられてしまうシーンが目立ちました…。

 御存知の通り、パラグアイは今回のワールドカップに出場しません。南米予選を7位で終えました。今、若返りをはかっている時期です。弱くはありませんが、コロンビアの実力とは比較になりませんよ。

 乾貴士が2得点しましたが、彼の実力なら驚くことでもありません。レベルの高いスペインリーグで揉まれていることを証明するかのような2ゴールでした。柴崎岳も同じリーグで頑張っていますが、パスを出せるタイプではないですね。ボランチというよりも、トップ下がベストポジションの選手でしょう。でも、そのポジションなら香川真司の方がベターです。

 岡崎慎司は調子が良くなさそうでしたが、前線でよくプレッシャーをかけ続けましたね。日本代表は、ワールドカップの予選リーグの4チームの中では最も格下です。つまり、3戦とも負ける可能性が高い。

 自分たちよりも強い相手には、前からガンガンプレッシングすることが肝心です。岡崎の動きというのは、相手DFが本当に嫌がるんです。それが、活路になっていくように思います。

 日本にとってコロンビアは、相当やっかいな相手です。ストライカーであるファルカオのマークには吉田麻也かな。そして、ハメス・ロドリゲスを止める役には山口蛍がいいでしょう。

 僕が考えるスタメンは、GKが川島永嗣。パラグアイ戦を見る限り、やはり安定感では川島でしょう。DFは、CBが吉田麻也と槙野智章、右に酒井宏樹、左が長友佑都。CBは鹿島アントラーズコンビではちょっと不安ですね。

 MFは、ボランチが山口蛍と長谷部誠の2人。右に原口元気、左に乾貴士。トップ下が香川真司。香川は調子が戻りつつあるし、今の本田圭佑よりも上です。ただ、やはり本田の経験は武器になりますから、香川が機能しなくなったら、交代でピッチに入ってほしいですね。

 そしてワントップは岡崎慎司。あの献身的な当たりは、イレブンを奮い立たせます。大迫勇也よりも買えます。

 コロンビアは、まず、原口、乾の両サイドを潰しにくるでしょう。原口、乾は走れるところまで走って、動けなくなったら、武藤らに代えればいい。まずは、岡崎が前線からプレスをかけて、戦う姿勢を見せてほしい。相手が嫌な気持ちになっていけば、そこからチャンスが生まれるように思います。

 非常に難しい相手ですが、頑張ってほしいです。

 

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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