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アルゼンチン人コーチが語る「イニエスタ効果&日本代表から漏れる選手」

林壮一ノンフィクションライター
来週、4名が涙を呑むことになる(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 アルゼンチン出身。兄は1979年ワールドユース東京大会でマラドーナと共に世界一となったピチ・エスクデロ。息子は現京都サンガの背番号10、エスクデロ競飛王。

 自身はアルゼンチン、スペインでプロとしてキャリアを積み、アルゼンチンユース代表、ビーチサッカーアルゼンチン代表に選出された。引退後は、柏レイソル青梅、レッズ・ユース、埼玉栄高校、エルサルバドルのプロチームでの指導者を経て、現在は、埼玉県に発足したクラブチームFC Futureで指揮を執るセルヒオ・エスクデロ。彼にイニエスタの神戸入団、そして来週発表される日本代表23名について訊ねた。

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撮影:著者
撮影:著者

 イニエスタJリーグ入りは凄いことですね。彼は既に財をなしていますから、お金のために日本でプレーするのではないでしょう。中国からも誘われていたようですが、W杯に出られている国じゃないし、日本の方がベターです。レベルも、まだ日本の方が中国よりも多少上でしょう。

 神戸のホームゲームはもちろん、アウェイも「イニエスタを見たい!!」というサッカーファンが、スタジアムに足を運ぶでしょう。これからJリーグは相当盛り上がると思いますよ。僕自身もとても楽しみです。

 イニエスタは、非常に腰の低い人ですよね。世界的な名選手であり、人間性も素晴らしい。若い選手には、本当にいいお手本になるでしょう。

 同じピッチに立つ選手は、敵であっても、ボールを奪いにいってかわされたり、スルーパスを通されたり、あるいはゴールを決められたり、アシストされたりしながら、学ぶことが山ほどあるでしょうね。

 神戸は昨年、ルーカス・ポドルスキを獲得しましたが、あまり活躍できていませんよね。周囲がポドルスキを活かせていない部分が大です。イニエスタが入れば、ポドルスキにいいパスが渡って、いいコンビネーションが生まれるように思います。ハーフナー・マイクやレアンドロもプレーしやすくなるんじゃないかな。

 ジーコが鹿島アントラーズの前身である住友金属に入団した頃は、引退間近でしたが、イニエスタは、これからロシアW杯に出る! という選手です。まだまだバリバリの現役です。

 バルサとは比較にならないでしょうが、繋ぐサッカーを見せてくれるでしょう。それは日本代表の強化にも結びつきます。中盤の選手の多くは、イニエスタの真似をするようになるでしょうね。過去にジーコがアントラーズを、ドゥンガがジュビロを強くした以上のことが期待できます。

 さて、先日発表された日本代表27名ですが、4名は落とされる訳です。個人的にはCBの森重が選ばれなかったのが残念です。僕はDFからは遠藤航が外れると見ます。悪い選手ではありませんが、代表レベルではない。遠藤よりも、森重の方が激しいプレーができますよ。

 MFは12名も選んでいて、長谷部、青山、山口、大島、井手口、三竿とボランチばかりですね。ですから、ボランチから何人か落とされるでしょう。本田だってボランチをやろうと思えばやれますしね。

 乾が左、原口が右、トップ下が香川か本田、あるいは宇佐美が攻撃をやるでしょうから、青山、大島、三竿あたりが外れる可能性が高いように感じます。最終的にMFは8~9人で構成されるんじゃないでしょうか。

 FWは浅野が外れるでしょうね。足は速いけれど、まだ代表レベルじゃないと僕は思っています。浅野の代わりに久保裕也が入る気がしますね。

 もう30日のガーナ戦まで時間がありません。そして、31日にW杯メンバー23名が発表されます。是非、ロシアではグループステージを突破してほしいですね。

 

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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