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日本代表入りを目指すアルヘンティーナ

林壮一ノンフィクションライター
日本代表入りを狙う重量級FW、エスクデロ 競飛王(写真:アフロスポーツ)

今シーズンのJリーグ開幕直前に江蘇蘇寧(中国)より京都に加入した、エスクデロ 競飛王。京都は彼に背番号10を用意した。

1988年スペイン生まれ。両親はアルゼンチン人。父は、元浦和レッズのセルヒオ・エスクデロ。叔父は、79年ワールドユース東京大会でマラドーナと共に世界一になった右ウイングのピチ・エスクデロだ。

父がレッズの選手、下部組織の指導者だった頃、競飛王も浦和の少年団でサッカーを始めた。……が、競飛王の父はそのメニューに疑問を感じざるを得なかった。

競飛王の父は言う。

「僕、日本に来て、少年の練習を見て、『どうなっているのか』と思いましたね。日本の指導者は少年団でも、襟を立てて歩いたりとか、子供の前でプカプカ煙草を吸ったりとか、それを何回も見ました。皆じゃないけど。

アルゼンチンでは絶対に無いことです。日本の少年団や部活は、アルゼンチンには無いです。全部がクラブチームで、幼い子からからプロまで全部クラブチームなんです。クラブチームの組織があるから、指導者はちゃんとライセンスを持っていて、指導法を学んでいますから、そんなことは絶対しないんですね」

「この環境では息子がダメになってしまう」と感じた父は、競飛王が8歳から12歳までの期間、祖国に連れて帰り、本場のサッカーを味わわせた。競飛王は浦和レッズのジュニアユース、ユースと進み、FCソウル、江蘇舜天を経て、再びJリーガーとなった。

「ウチの息子、ハートがありますよ。日本人選手じゃなかなか見せないハートが。是非、ピッチで確認してください!」

競飛王のスタメン出場は時間の問題だろう。今季のJ2、京都が躍進するかもしれない…。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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