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アルゼンチンから名門チームがやってきた!

林壮一ノンフィクションライター
アルゼンチンの超名門、リーベルのユニフォーム

昨年のブラジルワールドカップで最も光を放った選手-----準優勝したアルゼンチンの背番号14、ハビエル・マスチェラーノ。鋭い読みと闘魂は、見る者を熱くさせた。

そのマスチェラーノは14歳の時、アルゼンチン一の名門チームの下部組織に入り、2003年にトップチームに昇格する。闘う男が袖を通したのは、白地に赤いタスキのデザイン、リーベル・プレートのユニフォームである。1901年の創立以降、アルゼンチンリーグ優勝36回を誇る同リーベル・プレートのサッカースクールが日本に開校する。6月より所沢と横浜で「リーベル・メソッド」を用いて、子供たちを指導する。

代表者を務めるレオナルド小野は語る。

「日本サッカーの問題点はメンタルと、指導者ではないでしょうか。グラウンドで勝ちたい気持ちが表れている選手が見られないです。それが玉際の弱さにつながっていますね。体のぶつけ方も知らない。Jリーグもプロであるはずなのに、僕が14歳から住んだチリのストリートサッカーの方が激しいくらいです」

アルゼンチンで生まれ、7歳から14歳まで日本で過ごした小野は、日本でサッカーと出会った。

「中学生の時、上の学年のチームの試合に出て得点したら『お前、調子にのるなよ』って、チームメイトの先輩に言われました。また『俺はお前の先輩なんだから、あんまり強くぶつかるな』なんて言われた経験もあります。閉鎖的でしたね。それが日本社会なんでしょうが、打ち込めなかった。僕は14歳の途中でチリに行って、国内リーグの強豪、コロコロの下部組織の試験に受かったんですが、やっているサッカー、練習メニュー、メンタルの鍛え方、何もかもが違いました」

今のままでは、日本のサッカーに未来はないと小野は言う。

「たとえば、日本はよくグラウンド20周走なんてやりますよね。アルゼンチンでそういうメニューは、ダラダラダラダラ、マラソン選手みたいなことをやっているって判断されます。アルゼンチンの指導者から見れば有り得ないです。筋肉のつけ方、体力のつけ方がマラソン選手のものになってしまう。選手がそういう体の質になってしまうからです。あんなトレーニングをするなら、どうぞマラソン選手を目指してくださいってなります。サッカーは瞬発力が大事なので、そういうトレーニングにしないと。それも、選手に合わせて筋力や瞬発力のつけ方は違って当然なんですよ。」

そうした間違った日本の指導を、名門ならではの策で正すのが、リーベル来日の理由である。

※興味のある方はクリックしてください。 http://www.riverplate.co.jp/index.html

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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