【放送作家的YouTube重大ニュース2020】中田敦彦が芸人初の300万登録!急成長を生む4の秘密

(写真:ロイター/アフロ)

芸能人が大量参戦し、大いに盛り上がった2020年のYouTube界の重大ニュースを、現役放送作家が考察する第1弾。今回は、『中田敦彦のYouTube大学、芸人初のチャンネル登録者数300万人突破』を取り上げます。

最初に申し上げておきますが、YouTubeで300万人登録を成し遂げるのは尋常じゃない努力が必要です。人気や希少性だけで成し遂げることはできません。中田さんのチャンネルには、マーケティング的な巧妙な戦略やテクニック、数々のヒットの秘密が隠されています。300万人突破の要因を、順番に紐解いていきましょう。

中田さんのチャンネルは、その名の通り「教育系YouTube」。中田さんが講師となり、ホワイトボードを使いながら笑いを交えて授業をします。日本史や世界史といった学校で習うテーマから、時事ネタやビジネス本まで、幅広い題材を扱っています。

その成長速度は凄まじく、2019年の4月に今の方向性で本格始動すると、9月3日に100万人登録を達成。その半年後の2020年3月21日には200万人、さらにその半年後の10月12日には300万人を突破しました。12月26日現在で332万人、衝撃的なスピードは今も衰えていません。

なぜ、こんなに驚異的な成長を遂げることができたのか?

私なりに4つの秘密をあげてみます。

秘密①:中田敦彦に興味が無くても見られる構造

中田さんの動画を見る最大の動機は「学びたい」という気持ちです。極論、中田さんに興味が無くても、見る動機があるのです。実はこれ、YouTubeではちょっと珍しいこと。YouTubeは基本的に個人メディアであり、芸能人の場合は特に「その人に興味があるから見る」ことが多いのですが、中田さんのユーザーは、人の先にある「知識」を求めているのです。

これは中田さんから見ると大きなアドバンテージになります。「中国史について知りたいから」「5Gって何なの?」といった具合に、動画のテーマによって違ったジャンルの客層にアプローチできます。爆発的な成長スピードを達成できた背景には、そんなマーケティング的な要因があるのです。これは、中田さんの超人的な話術があるからこそ成立した稀有なパターンで、他の芸能人やYouTuberが追随できるものではありません。

しかし、テーマが毎回違うのなら、チャンネル登録する必要が無いのでは…という意見もあるかもしれません。実はそこにも、登録を促す仕掛けがあるのです。

秘密②:前後編に分けることで登録を促進

中田さんの動画は、基本的に前半と後半に分かれた2本セットになっていることがほとんどです。この戦略には長所と短所があります。これは私がYouTubeの仕事をする中で会得したメソッドでもあるのですが、前後編にするとほぼ間違いなく後編の再生数は前編より下がります。しかし、続きが見たくなるため、初めてのお客さんは登録してくれやすいという長所もあります。

つまり、中田さんは様々なジャンルを扱うことで新規顧客を開拓し、高い動画クオリティで心をつかみ、前後編に分けることで登録に結びつける。そんな戦略が見て取れます。

秘密③:高い動画の「資産価値」

ジャンルこそ多岐にわたるとはいえ、中田さんの動画は知識が詰まった「動く教科書」と言えます。教科書が普遍的なのと一緒で、中田さんの動画はいつ見ても価値が変わりません。

たとえば、中学生になって世界史を学ばなきゃいけなくなった子は、YouTubeで勉強しようと検索します。すると、中田さんの動画がレコメンドされる。学生は世代が入れ替わるので、中田さんの動画へのニーズが無くなることはありません。社会人も同様で、異動もあれば転職もある。学びのきっかけは常に発生します。つまり、10年後に見ても同じようにタメになるというわけです。

秘密④:セレンディピティにあふれた「最先端の本屋」

みなさんは「セレンディピティ」というマーケティング用語をご存知でしょうか? たとえば本屋さんに行った時、目当ての本を買いに行ったのに、たまたま目に入った本を手に取ってしまった経験。それが、セレンディピティ(=偶然の出会い)です。

中田さんのチャンネルは、中田敦彦という優秀なキュレーターが、読んでおくべき本や今知っておくべき知識をピックアップしてくれている、最先端の本屋のような場所です。そこはセレンディピティにあふれていて、新しい出会いが期待できる。だからこそ、ユーザーはチャンネル登録をするのです。

今回は、マーケティング的な観点から『中田敦彦のYouTube大学、芸人初のチャンネル登録者数300万人突破』というニュースを考察してみました。来春にはシンガポールに移住する予定だという中田さん。今後、動画がどう変わっていくのか、2021年も注目です。