Yahoo!ニュース

「なぜそんなにチョ・グクが好きなの?」韓国に殺到する日本メディアに首かしげる韓国人コーディネーター

鎮目博道テレビプロデューサー・演出・ライター。
韓国 チョ・グク法相(写真:代表撮影/Lee Jae-Won/アフロ)

イケメンだから?なぜかチョ・グク法相は日本メディアに人気

 「はっきり言って、別に来たところで外国メディアがチョ・グク法相の取材ができるわけはないんです。でもなぜかものすごくたくさんの日本メディアがやって来ます。なんで日本のメディア関係者はそんなにチョ・グクさんが好きなんですか?」

 先週末、韓国・ソウルで会ったテレビのコーディネーターの女性はこう言って首をかしげた。彼女の専門分野はニュースではない。むしろバラエティ番組などを得意とするコーディネーターなのだが、報道の仕事に次々と駆り出されているのだという。今日本から次々にメディアが取材に訪れていて、ソウルの日本語ができるコーディネーターに仕事が殺到、空前の好景気に沸いているらしい。

 「とある週刊誌の人なんか毎週必ずソウルに来ています。テレビ番組も、次々に取材にやって来ます。お仕事がいただけるから、とてもありがたいんですが…ソウル支局に任せておけば良いのではないかと思ってしまいます。人数も本当にたくさんいらっしゃるので、お仕事をしに来ているの?それとも遊びに来ているの?と思ってしまいますね。」と皮肉っぽくコーディネーターの女性は笑った。

バラエティ番組などの「自粛」も緩和モードに

 そして、ニュース番組だけではなく、日韓関係の悪化を受けて一旦中止となっていたバラエティ番組やプロモーションビデオなどの撮影も、ここへ来て再開されるものが徐々に出始めているという。彼女は、日本メディアの韓国自粛ムードはかなり緩和されてきていると感じているようだ。

 それに比べて、実は韓国メディアによる日本ロケは一向に増える兆しはないのだという。しかしその理由は、「韓国メディアの日本自粛が続いているから」というよりも、他に大きな要因があるらしい。

韓国メディアはなぜ日本に来ないのか?

 「ひとつはウォン安円高です。かつては韓国のバラエティは、韓国でロケをするより日本でロケをする方が安い!という時代がありました。その頃はどの放送局もこぞって日本ロケに行き、日本を紹介する番組を作ったものでしたが、今はお金がかかってしまうので、日本にロケに行くのはかなり難しいのです。あと、日本に行く観光客がとても増えたので、今さら日本のことを番組にしても誰も目新しく思わなくて、視聴率がなかなか取れなくなってしまっています。」

 ということで現状、日韓のメディアの「取材収支」は完全に日本側の一方通行で、日本にとっては「取材超過」になっているようだ。

テレビプロデューサー・演出・ライター。

92年テレビ朝日入社。社会部記者として阪神大震災やオウム真理教を取材した後、スーパーJチャンネル、スーパーモーニング、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。中国・朝鮮半島やアメリカ同時多発テロなどを取材。またABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」「Wの悲喜劇」などの番組を企画・プロデュース。2019年8月に独立し、テレビ・動画制作のみならず、多メディアで活動。公共コミュニケーション学会会員として地域メディアについて学び、顔ハメパネルをライフワークとして研究。近著に『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)

鎮目博道の最近の記事