グレタさんに叱られる?みずほ、UFJ、三井住友―株主総会で若者達が気候危機を訴え

みずほ銀行前でのアピール(C) Masaya Noda / Greenpeace

 今月25日から29日にかけ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)のメガバンク3行の株主総会が行われる。これに合わせ、環境活動家グレタ・トゥーンベリさんに賛同する日本の若者達や、国際環境NGOのグリーンピースは株主総会にも出席し、金融機関として、地球温暖化防止の行動を取るよう求めるのだという。また、 350.org Japanや気候ネットワークなど、9団体の環境NGOが、メガバンク3行に石炭火力発電の輸出をやめるよう呼びかけ、世界各国の109団体がこれに賛同したのだという。昨年の国連気候行動サミットやCOP25(第25回気候変動枠組条約締約国会議)でも、火力発電の中でも特に大量のCO2を排出する石炭火力発電を推進し続ける日本に、「石炭中毒」だとの国際的な批判が高まった経緯がある。メガバンク3行にも、国内外から厳しい視線がむけられているのだ。

◯国際社会から批判されるメガバンク

 地球温暖化の進行が顕著となり、頻発する異常気象による世界各地での被害がいよいよ深刻なものとなる中で、金融のあり方も問われている。主要なCO2排出源である化石燃料、つまり石油や石炭、天然ガス関連のビジネスへの投融資から、よりクリーンな太陽光や風力等の再生可能エネルギーへの投融資へ移行することが求められているのだ。とりわけ、最新式の型であっても、天然ガス火力発電に比べ、約2倍ものCO2を排出する石炭火力発電の廃止は急務で、世界の名だたる機関投資家が、石炭関連のビジネスから投資を引き上げる「ダイベストメント」を行っているのだ。

 こうした流れの中で、日本のメガバンクは批判の対象となってきた。昨年のCOP25では、ドイツの環境NGOウルゲワルドと、オランダの国際NGOバンクトラックにより、2017年から2019年の間に行われた石炭火力発電開発企業への融資した金融機関として、みずほ、三菱UFJ、三井住友のメガバンク3行が、融資額ランクの世界第1位から3位までを占めていたことが暴露されたのだった。

環境NGO「350.org.Japan」のウェブサイトより
環境NGO「350.org.Japan」のウェブサイトより

【画像出典】https://world.350.org/ja/press-release/191205/

 「石炭火力発電への融資で世界ワースト3を独占」との批判を受け、三菱UFJは昨年12月に、みずほ、三井住友は今年4月に相次いで、石炭火力発電へのプロジェクトファイナンス、つまり事業ごとへの融資を行わない指針を明らかにした。これは、環境NGO側から一定の評価を得たものの、石炭火力関連のビジネスを行っている企業への融資、つまりコーポレートファイナンスを制限するものではない。また、安倍政権の旗振りの下、日本の公的金融機関である国際協力銀行が主導するインドネシアやベトナムへの石炭火力発電の輸出には、メガバンク3行も参加している。そのため、環境NGO側はメガバンクの脱石炭には「抜け穴がある」と指摘しているのだ。

◯メガバンク株主総会へ向けた国内外の動き

 メガバンク3行は、より真剣に温暖化防止に取り組む必要がある―今年のみずほ、三菱UFJの株主総会には「Fridays For Future Japan」(FFFJ)のメンバーである学生達も参加し、地球環境と未来の世代への責任を問いただすのだという。 FFFJは、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんに賛同する日本の若者達のネットワークであり、その名の由来も、グレタさんが温暖化防止を訴えるため毎週金曜日に登校をストライキした「Fridays For Future(未来のための金曜日)」にある。FFFの名を冠したグループは世界各国にあり、FFFJもグレタさん側とやり取りをしているのだという。つまり、学生だからとメガバンク側がFFFJの若者達をぞんざいに扱えば、グレタさんはじめ世界の温暖化防止を求める何百万人もの活動家達の反感を買うことになるかもしれない、ということだ。国際環境NGOのグリーンピース・ジャパンも、みずほ、三菱UFJ、三井住友の株主総会に出席し、温暖化防止を求めるのだという。

 また、メガバンク3行の株主総会に向け、350.org Japan、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、Fair Finance Guide Japan、気候ネットワーク、国際環境NGO FoE Japan、メコン・ウォッチ、グリーンピース・ジャパン、レインフォレスト・アクションネットワーク、Reclaim Finance の9団体が「NO石炭銀行」として、脱石炭を促す署名を呼びかけた。

 呼びかけ団体の共同発表によれば、「NO石炭銀行」の国際署名に世界各国の環境NGO109団体と、2470人の個人が賛同したのだという。この署名の呼びかけでは、以下のように石炭火力の廃止の重要性を訴えている。

「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気候崩壊を免れ持続的な地球環境を守るためには、世界の平均気温を、パリ協定の努力目標である産業革命前比1.5℃以下に抑えることが必要だと報告しています。そのためには、最も多く温室効果ガスを排出する石炭火力発電所は世界で1基たりとも新設できず、日本を含むOECD諸国は2030年までに、それ以外の国は2040年までに全廃する必要があります」

出典:「NO石炭銀行」の署名サイトより

その上で以下2点をメガバンク3行に求めている。

・責任ある金融界のリーダーとして、持続可能な社会を創造するためにパリ協定に整合した脱石炭・脱化石燃料戦略を構築してください。

・例外規定を使った「石炭火力輸出」から脱却し、相手国の将来的利益をサポートできるような省エネや分散型で森林破壊を伴わない自然エネルギー発電などの投融資に転換してください。

出典:「NO石炭銀行」の署名サイトより

◯35億人が「居住不可能」、人類の生存の問題

 地球温暖化の影響は既に甚大だ。つい先日も北極圏であるシベリア北部で気温38度を記録。先月末にはインドやパキスタンで気温が約50度まで上昇した。米国や中国、英国などの専門家による共同研究によれば、温暖化の進行を放置すれば、約35億人もの人々が「居住不可能な暑さ」に直面することになるのだという。

 もはや、温暖化防止は政治・経済のスタンスの違いや国境を超えた、人類の生存の問題だ。メガバンク3行にも、今後ますます責任ある振る舞いが求められることは避けられない。

(了)

パレスチナやイラクなどの紛争地での現地取材、脱原発・自然エネルギー取材の他、入管による在日外国人への人権侵害、米軍基地問題や貧困・格差etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに寄稿、テレビ局に映像を提供。著書に『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共編著に『原発依存国家』(扶桑社新書)、『イラク戦争を検証するための20の論点』(合同ブックレット)など。イラク戦争の検証を求めるネットワークの事務局長。

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