「日本は10年遅れている」北欧国会議員―脱・石炭火力発電は世界の流れ、洋上風力発電に注力を

講演するゾルバーグ議員(中央)

安倍政権がその成長戦略の一つとして、石炭火力発電の輸出推進をしている一方、世界的には、地球温暖化防止のために、大量の二酸化炭素(CO2)を排出する石炭関連事業からの投資撤退(ダイベストメント)が進んでいる。15日、ノルウェーの国会議員が都内でメディア関係者向けに講演、同国の公的年金基金で、世界最大規模の運用規模を誇るノルウェー政府年金基金(GPFG)が石炭事業へ投資しないと決定したことを紹介、日本にも脱石炭の流れに加わるよう、呼びかけた。

〇96兆円の投資機関が「脱石炭」

毎年、世界各地で異常な熱波や寒波、記録的な大雨や大干ばつなどの異常気象が頻発するなど、温暖化による地球の気候全体のカオス化が深刻になっている。もはや、危機は遠い未来の話ではなく、今、人々が直面しているものなのだ。そうした危機感から、近年、世界的に、石炭火力発電への投資を引き上げる動き=ダイベストメントが活発になっている。中でも、インパクトが大きかったのは、約96兆円という世界最大規模の資金を運用するノルウェー政府年金基金が、昨年4月に、石炭関連事業への投資をやめると決めたことだ

今回、来日したノルウェーの国会議員トーステン・ゾルバーグさんは、財務・経済常任委員会のメンバーとして、石炭からの撤退を主導した。ゾルバーグさんは「国際エネルギー機関(IEA)は、世界のCO2の排出の3分の2は、エネルギー関連から排出されるとしており、その中でも特に巨大な排出源が石炭火力発電です。ですから、石炭からの脱却は急務なのです」と強調する。

「ノルウェー政府年金基金は、日本を含め世界66ヵ国、9050の企業に投資していますが、その企業の事業全体の石炭関連の占める割合、或いは石炭関連の売り上げに占める割合が30%を超える企業59社を、投資対象から除外しました。日本企業も電力会社5社が除外されています」(ゾルバーグさん)。

ノルウェー政府年金基金のダイベストメントの対象とされたのは、中国電力、電源開発、北陸電力、沖縄電力、四国電力。さらに、石炭事業の割合が多いとして企業として九州電力や東北電力の動向も注視しているのだという。ゾルバーグさんは「ノルウェー政府年金基金の脱石炭のダイベストメントは、他の巨大ファンドも見本としています」という。「例えば、アリアンツ(ドイツ最大の保険会社)、アクサ(フランスに拠点を置く世界最大級の保険・資産運用グループ)、そしてロックフェラー財閥(米国の巨大財閥)なども脱石炭の流れに加わっています」

〇日本は脱石炭、洋上風力発電に注力を

こうした世界の潮流と逆行するのが、安倍政権だ。先月のアジア外遊でも、日本の石炭火力発電をアピール。「日本の石炭火力は高効率でCO2排出削減に貢献できる」と主張した。だが、ゾルバーグさんと共に講演したティム・バックレーさん(エネルギー経済投資アナリシス研究所)は、疑問を呈する。「高効率石炭火力といっても、通常の石炭火力より10~20%程度しかCO2排出が減りません。国際エネルギー機関も高効率石炭火力は、温暖化対策にはならないとしています。それならば、技術が向上し、発電コストも安価になった自然エネルギーに移行した方が良い。三菱重工の風力発電用タービンの技術は世界一と言ってもよいもので、日本は洋上風力発電で大きな成長が見込めるでしょう」

ゾルバーグさんも「石炭火力について、私達も10年程前は、日本の方々と同じような論議をしていました。だから、日本もこれから大きく変わる可能性があるでしょう」と語る。

世界的にみれば、先進国のみならず中国やインドなども脱石炭、自然エネルギー推進へと大きく舵を切っている。日本としても、石炭などの化石燃料に固執する、化石のような国にならないよう、電力改革へ本腰を入れるべきだろう。

(了)