ガザ本格停戦へー今後も繰り返される殺戮への懸念、日本含む国際社会の責任

空爆の犠牲となった子ども達を埋葬する人々。ガザ中部で先月末撮影。
空爆の犠牲となった子ども達を埋葬する人々。ガザ中部で先月末撮影。

現地時間26日のエジプト当局の発表によれば、イスラエルと、イスラム政党/武装組織ハマスが、パレスチナ自治区ガザでの本格停戦に合意したという。ロイターなど国際メディアが一斉に報じた。日本のメディアもそろそろ報じる頃だろう。ただ、日本の報道では、単に「停戦して良かったですね」で済まされそうな気もする。無論、停戦自体は歓迎すべきだが、今回の犠牲はあまりに大きすぎた。そして何より、ガザの住民の少なくとも2,133人を殺し、11,000人を負傷させたイスラエルの責任追及が行われない限り、同じことは何度でも繰り返される。

思い出すのは、5年前の1月のこと。あの時、やはり私はガザにいた。08年末から09年1月にかけ、イスラエル軍によるガザ侵攻「鋳られた鉛作戦」がおこなわれ、1400人以上のガザの人々が犠牲となり、その3分の1以上が未成年だった。5000件以上の家々が全壊ないしは半壊、数万件の建物が損壊。国連の避難所や、食料・医薬品庫に非人道兵器の白リン弾が降り注ぎ、人々を焼き殺し、援助物資を灰にした。イスラエル兵達は無抵抗の農民一家を監禁し虐殺、占拠した家々に糞尿をまき散らし、壁には「お前らは俺たちからは逃げられない」「平和ではなく戦争を」と落書きしていた。

あまりの非人道的な攻撃ぶりに、国連でもイスラエルの戦争犯罪に対する追及が行われようとしたことがあった。ゴールドストーン判事率いる国連独立調査団は、09年9月15日、イスラエル及びパレスチナ武装勢力双方の行為が戦争犯罪に相当すると結論付ける報告書を国連人権理事会に提出。このゴールドストーン報告では、「イスラエル政府に対し、同報告書の指摘する国際人権・人道法違反を3ヶ月以内に調査し、その後3ヶ月以内に安保理に報告すべき」と勧告、それが実現しない場合、「国連安全保障理事会は、この問題を国際刑事裁判所に付託する」としていた(関連情報)。だが、このゴールドストーン報告による戦争犯罪の追及は、米国の猛烈な抵抗に遭って頓挫してしまい、同報告を書いたゴールドストーン判事自身も圧力に屈してしまった(関連情報)。

戦争犯罪追及から逃れたイスラエルは何をやったか。2012年11月にはイスラエル軍による大空爆「雲の柱作戦」、そして今夏のガザ侵攻だ。エジプト当局の発表のように、イスラエルとハマスが本格停戦で合意に至ったのなら、それ自体は喜ばしいことだが、また大規模な虐殺がないとは限らない。既に述べたように08年末から09年頭にかけての「鋳られた鉛作戦」で、国連施設への攻撃、人口密集地への無差別攻撃、医療従事者への攻撃…数々の国際人道法違反、戦争犯罪が行われたにもかかわらず、国際社会はその責任を問うことをしなかった。それこそが、その国際社会の怠慢こそが、2012年の大空爆、そして今回の侵攻へとつながっている。今回のガザ侵攻で罪のない子ども達を直接殺したのは、イスラエルだが、同国の暴走を止められない、国際社会もまた同罪なのだ。

昨年春、「雲の柱作戦」による被害の取材を終え、帰国しようとする私に、現地の友人が別れ際に言った言葉が耳に残っている。

「ねぇ、レイ。数年後また会うことになるわね。その頃、多分また大きな戦争が起きて、貴方もガザに戻って来るんだわ」

友人の言葉は、現実のものとなった。思った以上の早さで。停戦合意で「終わり」とするのではなく、もうこれ以上、無辜の市民が殺されないために、私達は声をあげないといけない。それは、単にガザの人々のためだけでなく、世界各地の紛争地で苦しむ人々のためでもある。戦争犯罪を繰り返すことは許さない、という強いメッセージを世界が共有することが必要なのだ。