[動画レポート]知られざる親日国インドネシア ~25万人が集まる日本の祭り~

ジャカルタ日本祭り「縁日祭」の様子

親日国と聞いてどこの国を思い浮かべるだろうか。台湾、トルコなどは有名なところだが、インドネシアという国を挙げる人は、どれくらいいるだろうか。つい先日などは、とある女の子に「ジャカルタってインドネシアの首都だったんだ?もっとアフリカ方面かと思った」と言われた。これはちょっと極端な例としても、「バリ島は知っていても、それがインドネシアだとは知らない」という人に会ったのは1回ではない。

どうやらインドネシアは日本に片思いらしい。

首都ジャカルタで毎年5月頃、「縁日祭」と呼ばれる日本のお祭りが週末に開催される。かき氷やたこ焼きの出店が並び、ステージでは日本から来た三味線奏者やアイドルがパフォーマンスをする、日本がてんこ盛りのイベントだ。来場者は25万人。地元ジャカルタ新聞によれば、サンパウロで開催されている日本イベントと並んで、世界最大規模だと言う。百聞は一見にしかず、まずはその熱狂的な2日間がどんな様子なのか、動画でご覧いただきたい。

インドネシアで映像を撮っていると、日本とは違う取材のしやすさを感じる。カメラを向けて嫌がる人が、まずいないのだ。自然な笑顔を求めてひっそりカメラを向けても、レンズに気づいた瞬間ばっちりポーズを決めてくる。もっと言えば、仕事中の警官にカメラを向けてもお得意の決めポーズをしてくる。インドネシアはどこか空気がゆるい。

祭りの準備段階で、こんなことがあった。出し物の目玉となるステージ、その設営が本番直前になっても進んでいなかった。時間にゆるいインドネシアの設営業者が遅れてきたのだ。このままだとリハーサルの時間が取れずに、全ての催し物が、ぶっつけ本番になってしまう。インドネシアに来て間もない日本人は、やきもきする。リハーサル時間を1分でも長く取れる方法を探る。「業者に設営をもっと急がせるべきだ」そういう意見が出る。緊迫した様子の中、インドネシアに長く住む日本人が、信じられない解決法を編み出す。「あきらめましょう!」。その人は笑顔だった。

諦めるという選択肢には、恐らく、いくらでも反論の余地はあるだろう。

「より良くしようと思わないのか?」

「わざわざ日本から来ているゲストにリハ無しでやらせるなんて失礼だ」

「やれることが残っているのに、諦めるのか?」

想定できる反論の多くは、正論だ。だが、「あきらめる」というインドネシア式の選択肢に、その時の私は、どこか強さのようなものを感じてしまった。

インドネシアで工場を運営する日本企業の社長は、インドネシア人の特徴を「引きずらず、忘れず」と表現した。工場内である問題が起きた時のことだ。解決にはかなり時間がかかる状態にあったそうなのだが、終業時間になると、従業員は皆、何事もなかったかのように帰ってしまったそうだ。やはり責任感という部分で欠けている部分があるのだろうか、そう思っていたところ、翌日また工場が動き出すと、始業時間から全力で問題に取り掛かりだしたのだそうだ。ゆるいようで、マジメであり、マジメなようでいて、深刻にはならない。

縁日祭の映像に出てくる日本好きのインドネシア人のなかには、日本の生真面目さや規律正しさを、目標としている人も多い。そういうしっかりとした日本が、憧れるほどの経済的成功をしたことを、彼らはしっかりと見ている。しかし一方で、そんな彼らのインドネシアらしい穏やかな雰囲気を見ていると、どこか日本に足りない救いのようなものがあるように感じる。

この巨大な祭りは、半年以上前から準備されている。その直前7日間の準備風景に密着し、50分の動画レポートにしてみた。そこには、イベント直前の緊迫感もありながら、どこか「なんとかなるだろう」という穏やかさがあったり、「絶対成功させるぞ!」という気迫がありつつ、「まあ楽しくやりましょうよ」というゆるやかさがあったり、日本とインドネシアが重なり合った場面が、多々あったように思う。

関連リンク

>縁日祭ホームページ

記事・動画制作協力:Yahoo!ニュース個人編集部