コロナ危機が露にした構造とさらなる危機

コロナ危機は世界をどう変えるだろうか(写真:ロイター/アフロ)

資本主義の構造的問題 

 新型コロナウイルスの感染拡大には、資本主義の構造的問題が現れています。いくつかのレベルに分けて整理してみます。

 第一に、新自由主義化による社会の脆弱(ぜいじゃく)化が露呈したことです。イギリスやイタリアで大きな被害が出ています。長年の緊縮財政によって公的な医療資源が削減されてきたところを感染症が直撃して医療崩壊を引き起こしたことが一因です。

命の不平等顕著

 第二に、ニューヨークの状況などで顕著のようですが、富者の命は守られやすく、貧者の命は失われやすいことです。公的健康保険制度が貧弱なアメリカでは、貧困層はよほどの重症にならない限り病院に行こうとしない。支払えないからです。よって今回のケースでは、手遅れになる場合が貧困層で多いという。激しい階級格差が命の不平等として現れています。

 こうした状況は人ごとではありません。幸運にも日本で感染爆発は起きていませんが、しかし仮に西欧やニューヨークのように爆発していたら、例えば大阪では「二重行政の解消」の名の下に生じていた医療資源の貧弱化を直撃していたはずです。全国レベルでも、医労連の森田進書記長によれば、1998年に9060床あった感染病床は現在では1869床まで減少しているという。極限まで余裕を削って効率化するという新自由主義の考え方がいかに危ういものなのか。いま思い知らされているのです。

搾取の連関構造

 資本主義の問題の最も巨視的なレベルは、南北問題です。多くの識者が指摘していますが、新型ウイルスによる感染症の発生の背景には、発展途上国における乱開発があります。森深くに眠っていたウイルスが、開発が進みすぎることによって人間世界に出てきてしまって問題を起こす。途上国が自然を破壊しながら工業化を進めることで豊かになろうとする。それ以外に豊かさへの道がないという世界資本主義の構造こそが問題なのです。先進国は途上国を搾取し、途上国は自然を搾取する。この搾取の連関構造の問題は、しっぺ返しのように先進国住民にとっての巨大な脅威となって戻ってきました。

米中緊張激化を憂慮

 「コロナ以後」の世界に関して私が最も憂慮しているのは米中関係です。欧米、とりわけアメリカで、「黄禍論(こうかろん)」が復活しています。コロナ以前から米中間には緊張が走っていたわけですが、コロナ以後にはそれは比較にならないくらい高まると私は見ています。仮にアメリカでのコロナ犠牲者が10万人に上るとしたら、「中国によって10万人殺された。われわれはその仕返しに中国人を10万人殺す権利がある」―こうした感情が支配的になってくる。トランプ政権は、国内の支持固めのために、この感情を抑えるどころか積極的に活用しようとしている兆候があります。要するに、米中戦争の可能性が飛躍的に高まるということであり、しかもこうした感情にとらわれた人々は、中国人と東洋人一般の区別がついていません。

 この予測が当たらないことを願っていますが、分断・敵対の感情をどうやって協同・協力のモードへと転換させるのかが、途轍(とてつ)もなく重要な課題となります。そのために両者に対してどのように語りかけていくのか。日本にとって文字通りの死活問題です。

※本稿は、「しんぶん赤旗」(5月11日)に、掲載されたインタビュー記事の転載です。