山口県阿武町にて新型コロナウイルス関係の臨時特別給付金を誤って1人の男性に4630万振り込まれた事件で、その返還を拒否している男性だとしてネット上でいくつかの顔写真が拡散していますが、すべて別人です。

 拡散しないように注意してください。

 いまのところ筆者が確認できている事例を解説します。

事例1.広告掲載料目当てのブログが別人の顔写真を掲載

 ひとつめは広告掲載料目当てと思われる個人ブログ『mirimariニュースサイト』が、特殊詐欺で逮捕された男性の顔写真を返還拒否男性の顔だとして掲載しているものです。

 ブログでは「(返還拒否男性の実名)の顔画像」との文章の下に逮捕された男性の顔写真を掲載。

ブログでの掲載例。問題の個人ブログより。モザイクは筆者加工。
ブログでの掲載例。問題の個人ブログより。モザイクは筆者加工。

 その顔写真の直後に「こちらの人物は特殊詐欺事件の犯人で振り込め詐欺、オレオレ詐欺の犯人の顔になります」、「(返還拒否男性の実名)もこの様な顔をしているのではないでしょうか」と書いており、返還拒否男性ではない説明をしています。

 しかし、確実に誤解を招く掲載方法であり、実際にSNSではこの特殊詐欺で逮捕された男性の顔写真が返還拒否男性だとして拡散されている事例も見受けられます。

 そもそもブログのサムネイルとして顔写真が以下のような使われ方をしているため、顔写真の直後に文章で説明していても「誤解させるつもりはなかった」とは言えないでしょう。

サムネイルを見ただけでは確実にこの男性が返還拒否男性だと誤解してしまう。問題の個人ブログより。モザイクは筆者加工。
サムネイルを見ただけでは確実にこの男性が返還拒否男性だと誤解してしまう。問題の個人ブログより。モザイクは筆者加工。

 ちなみにこのブログを見てかどうかはわかりませんが、特殊詐欺で逮捕された男性の顔写真を返還拒否男性の顔だと断定して掲載しているほかの個人ブログもありました。

事例2.お笑いコンビ『ガリットチュウ』の福島さんの写真を掲載

 ふたつめはお笑いコンビ『ガリットチュウ』の福島さんの書籍『哀愁 ガリットチュウ福島のモノマネ人生劇場』に掲載されている顔写真を、卒業アルバムに載っている返還拒否男性の顔だとして掲載しているTwitterでの投稿です。

デマを投稿するツイート。Twitterより。モザイクは筆者加工。
デマを投稿するツイート。Twitterより。モザイクは筆者加工。

 こちらは当該ツイートにも指摘が入っているほか、書籍のサンプルページから顔写真そのものを確認できます。

書籍のサンプルページで顔写真を確認できる。Amazonより。
書籍のサンプルページで顔写真を確認できる。Amazonより。

 サンプルページの左上に、投稿されている顔写真を確認できます(販売・公開されている書籍であること、著名人であることからモザイク加工はしていません)。

事例3.同級生だと名乗り、過去に炎上した男性の写真を掲載

 みっつめは返還拒否男性の同級生だと名乗ったうえで、返還拒否男性の顔写真だとして別人の顔写真を掲載しているTwitterでの投稿です。

デマを投稿するツイート。Twitterより。モザイクは筆者加工。
デマを投稿するツイート。Twitterより。モザイクは筆者加工。

 「なぜ別人と言えるのか?」ですが、じつはこの男性は2018年に炎上した(ネット上で祭りの対象となった)人物なのです。

 写真はそのときに流出したものを切り取ったものであり、おそらくはこの炎上に参加していた人がふざけて返還拒否男性の顔写真とのデマを流したものと思われます。

元となった写真。右側の男性を切り取ったもの。5chより。
元となった写真。右側の男性を切り取ったもの。5chより。

同姓同名でも安易に顔写真を拡散しないように

 返還拒否男性の顔が気になっている人が多いようですが、たとえ写真と一緒に同姓同名の名前が掲載されていたとしても拡散しないよう注意してください。

 この記事では“返還拒否男性”と表記することで実名を掲載していませんが、よくある名前です。名前と年齢が同じ人はたくさんいることでしょう。

 罰を与えようと思ってか、世間の期待に答えようと思ってか、顔写真をネットにアップしたり拡散したりしようとする人が少なからずいます。

 しかし、間違っていたときにその被害を取り消すことはできませんし、そうした行為をした人は「別人に対して返還拒否男性だとの誤った情報を流した」加害者になります。

 十分に注意してください。