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「報道には事実と異なる点がある」コーチの暴行で炎上中の秀岳館サッカー部が公式SNSで発表

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
経緯を説明する秀岳館サッカー部の生徒たち。インスタグラムより。モザイクは筆者加工

 生徒が男性コーチから暴力を受けている動画が公開されたことで炎上中の秀岳館高校のサッカー部が、公式SNSで部員が暴力を受けた経緯や、なぜSNSに投稿されたかなどを説明する動画を公開しました。

サッカー部Aキャプテン「事実と異なる点があるので、動画を拡散して欲しい」

 動画ではまず、サッカー部のAキャプテンが「今回の件でお騒がせしてしまい、本当に申し訳ありません」と謝罪した後に、「世間に広がっている情報の中には事実と異なる点がある」と説明。

 その事実と異なる点について「お話しさせていただきます。この動画を拡散してください。よろしくお願いします」と語りました。

暴行を受けた部員B「コーチをバカにするような発言をしたのが原因」

 続いて暴行を受けたとされるB君が映り、暴行されたのは学校から帰った際に、寮の鍵がなかなか開かなかったことについて感情的になった結果、コーチをバカにするような発言をしたのが原因だと説明しました。

 そして「SNSなどで暴力が日常茶飯事だと書いてありましたが、それは違います」と、日常的にコーチから暴行を受けていたわけではなく、つねに暴力を振るわれていたとの情報は間違っていると拡散している情報を否定しました。

動画の投稿者2名「動画を切り取って拡散した」

 さらにはSNSに問題の動画を投稿したという2名の生徒C君、D君も現れ、動画を撮影したのは自分たちであること、暴行シーンを切り取って拡散したことが説明されました。

 その結果、「事実と異なることがマスコミによって報道され」、「仲間たちがたくさんの誹謗中傷にあって」いること。そして、「ここまで大きなことになる」とは思っていなかったと後悔している様子を見せました。

サッカー部Aキャプテン「誹謗中傷を受けて苦しんでいる」

 動画では最後にもう一度Aキャプテンが現れ、「毎日のように暴行が行われているなどと、誹謗中傷を受け、それによりサッカー部は苦しんで」いること、そして「必要以上に報道陣の方々が集まってきていることで、不安や恐怖を抱えている生徒も」いると話し、「僕達サッカー部は、サッカーを通じて、信頼回復に励んでいきます」と締めくくるかたちでおわりました。

生徒に説明させるものではない

 今回の動画は生徒たちが公式SNSに自主的に投稿したものだと思われますが、本来であればこのような説明は大人たち、正しくは責任のある人たち、もう少し言うと暴行した大人がやるべきものです。

 生徒らが自らの名前を出して「誹謗中傷を受けて苦しんでいるのでやめて欲しい」などと言わなければならない状況は間違っていますし、「生徒だけが説明している」という事実そのものが追加の炎上理由になってしまいます。

 生徒がどのような発言をした結果、暴行が起きたのか? なぜコーチは我慢できなかったのか? コーチ本人は何と説明しているのか? それを受けて学校側はどのように対処するのか?

 学校関係者の素早い対応、説明が求められている状況だと考えます。

公式SNSの発表動画、全文書き起こし(生徒名の匿名化は筆者によるもの)

Aキャプテン「こんにちは、秀岳館サッカー部キャプテンAです。まずは今回の件でお騒がせしてしまい、本当に申し訳ありません。

 いま、世間に広がっている情報の中には事実と異なる点があるので、お話しさせていただきます。この動画を拡散してください。よろしくお願いします」

B「この件の当事者のBです。本当のことを説明するために、みんなに協力してもらい、集まってもらいました。

 まず、学校から帰り、寮の鍵がなかなか開かず、感情的になり、コーチをバカにするような発言をしたのが、今回の原因で、また、SNSなどで『暴力が日常茶飯事』だと書いてありましたが、それは違います」

C「秀岳館サッカー部、Cです」

D「Dです。今回の件で動画を撮り、切り取ってSNSに拡散したのは俺(僕?聞き取りづらく不明)たちです。

 監督に相談することを考えていましたが、感情的になってしまい、SNSに投稿してしまいました。それにより、事実と異なることがマスコミによって報道されてしまいました。

 そのために、自分たちの仲間たちが、たくさんの誹謗中傷にあっています。正直、ここまで大きなことになるとは思っていませんでした。たくさんの人に迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでした」

Aキャプテン「今回の件で保護者の皆様、とくに1年生の保護者の皆様には、ご心配をおかけしました。本当に申し訳ございませんでした。

 いま話したことが全ての事実になります。

 ですが、いまSNSなどでは、毎日のように暴行が行われているなどと誹謗中傷を受け、それによりサッカー部は苦しんでいます。

 また、必要以上に報道陣の方々が集まってきていることで、不安や恐怖を抱えている生徒もいます。

 これから僕達サッカー部は、サッカーを通じて、信頼回復に励んでいきます。これから自分たちが成長し、未来を変えるために一致団結してサッカーに取り組む姿を見ていただければ幸いです。よろしくお願いします」

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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